暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第101話:蛇の脱皮
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ューサの手から離れたソロモンの杖を見事掴み取った。
「ソロモンの杖、返してもらうぞ!」
「おのれ、この、小娘がぁっ!?」
〈イエス! キックストライク! アンダスタンドゥ?〉
「っ!? しまっ――」
不意の一撃に加えクリスにソロモンの杖を取り返され、冷静さを欠いたメデューサの頭からは透の存在が完全に抜け落ちた。その隙を見逃さず、透は土煙が薄れて僅かに遠くが見通せるようになった視界の先に居るメデューサに向けて必殺のキックストライクを発動し、魔力の籠った右足による飛び蹴りを放つ。
クリスからソロモンの杖を奪い取ろうとしているメデューサには、これを回避や防御するだけの余裕はない。反射的に防御の体勢を取ろうとしたようだがそれも間に合わず、透の飛び蹴りがメデューサに直撃した。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ?!」
蹴り飛ばされたメデューサは壁に叩き付けられ、力無く地面に倒れるとそこで変身が解除された。もう彼女に抵抗するだけの力は残っていないだろう。
因縁のある相手に勝利を収められた事に安堵した透は、ふとクリスがまだ素っ裸だったことを思い出し慌てて魔法で適当に毛布を取り出し振り返らずクリスに渡した。
「わ、わりぃ、透……」
クリスもクリスで、素っ裸でいる事が恥ずかしくない訳ではなかったのか、落ち着いて今の自分の状態を見て恥ずかしくなったのか毛布で体を隠す。
そのクリスの手には、畳まれたソロモンの杖がある。苦労はしたが、漸く取り返す事が出来たのだ。その事にクリスだけでなく透も安堵する。
直後、洞窟が揺れ始めた。揺れたというよりは、あちこちのひび割れが大きくなりその影響で振動していると言った方がいい。どうやら彼らの戦闘の余波で、洞窟内が崩れつつあるようだった。
このままだと生き埋めになる。そうなる前に脱出しようとする2人だったが、ふとメデューサが倒れたままだという事に気づいた。
咄嗟にメデューサを救出しようと元来た道を戻る透だったが、彼が引っ張り出す前にメデューサは一足先に崩れ落ちた天井の下敷きとなり崩落した岩石の下に消えていった。
「ッ!?」
「透、あたしたちもヤバい! ここから逃げるぞ!」
因縁のある敵であろうと助けようとした透だが、あれではもう助からないだろう。クリスは今回ばかりは透の意見を却下し、彼の手を引いて無理矢理にでもこの場から離れさせた。崩落が進んでいる。これ以上この場に居るのは非常に危険だ。
クリスは透を半ば引き摺るようにしてその場から退避する。何処に繋がっているのかは分からないが、適当な横穴に入り洞窟から出ると一際大きな音が響いて先程まで2人が居た場所が完全に崩れ塞がれる。
間一髪だったことにクリスは冷や汗を流した。
「ふぅ、あっぶねぇ……」
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