暁 〜小説投稿サイト〜
探偵オペラ ミルキィホームズ 〜プリズム・メイズ〜
探偵事務所にて
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二段。その、二階に位置している物件は。

「ねえ、ウィル」

 探偵の卵ーーネロが問う。青年が応じた。

「誰がウィルだ。ぼくはウィルバー」
「じゃあ、ウィルバー。それで僕は何をしたら・・・」

 お菓子も食べ終えてしまったので、少し居心地悪そうにしながらーーだってここしばらく、仲良し四人組を離れて行動することなんて稀だったからーー訊く。

「簡単に言うと書類の整理だね。適当にぼくが作ったのやら、どこかの会社から舞い込んだのやら、個人のお客が自分で作ったのやら。おおざっぱに言えば解決済みと未解決に分けて、細かく言えばABC順に、日付順に分けておいて」

「秘書でも雇えば」
「秘書は雇うと高い」

 そうらしい。
 またネロはどこからともなく棒付きアメを取り出して包み紙をはがし、口に放り込む。

「そこで王女殿下にボヤいたら、アルバイトを探している探偵見習いがいるっていうからーー」
「僕、ってわけか。OK,任せて」

 青年は手元にあった紙を一枚持ち上げて読み出す。

「・・・あの」

 無視されているようで、ネロは居心地が悪くなり、訊いた。

「・・・ああ。今日はもう帰っていいよ。明日(あした)からお願いしよう」
「う、うん!」

 ば、っとソファから立ち上がり、脱いでいた帽子をひっつかんで、ネロは飛び出すようにして探偵事務所を出て行った。
 彼女が階段を駆け下り、街路へ飛び出ていくのを見送りながら、青年ーーウィルバーはつぶやいた。

「ネロ・ユズリザキ・・・か」
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