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不落戦艦「キイ」〜宇宙戦艦ヤマト2202・鋼鉄戦記〜
序章 月の海にて
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真上から銃撃を浴びた敵機は火を噴き出しながら墜落していく。そしてトーマス機の上方に数機の〈コスモホーク〉が現れる。

『ブラボー3、大丈夫か?』

 〈コスモホーク〉のパイロットから通信機越しに声がかけられ、トーマスは安堵した様子で答える。

「こちらブラボー3、助かった。さっきのは月軌道上に現れた敵空母から発艦してきた『ブーメラン』だ!直ぐ近くに母艦がいる、先ずは敵機を排除してくれ!」

『了解した。直ちに母艦に増援を要請する。ブラボー3は直ちに母艦で補給を受け、攻撃に参加されたし』

「了解した!無茶はするなよ!」

 トーマス機は大急ぎで母艦「レキシントン」に戻り、重力の存在しない宇宙空間である事を利用して、「レキシントン」の右舷艦載機運用ユニット上で停止。そしてゆっくりと姿勢制御スラスターロケットを焚いて姿勢を正しながら降下し、着艦を終える。直後に数人の宇宙服姿の航空要員が現れ、姿勢制御スラスターロケット用の酸化剤やレーザー機銃用の触媒ガス、そして空対艦ミサイルを搭載していく。さらに各部スラスターロケットの簡易的なメンテナンスも行われ、僅か5分で発艦準備が完了する。

 そして武器の装備と機体の整備を終えたトーマス機は、航空管制所からの許可を得つつ、電磁カタパルトを用いて発艦。敵空母との交戦宙域へと向かう。

 再出撃を終えたトーマス機は僅か5分でその場に駆けつけ、敵空母とその艦載機、そしてそれらと交戦する友軍機を目にした。そして月の表面に目を向け、一体何が起きているのかを把握した。

「少尉!月の友軍基地が…!」

「くそ…だからこんなところまで侵入してきたのか…!」

 月表面に目を向けると、国連宇宙陸軍の月面基地が敵機の攻撃を受けており、友軍機がこれ以上の攻撃を防ぐために防戦に回っているが、十字型の船体が特徴的な敵空母は艦底部からレーザーを照射し、直接表面を攻撃している。これ以上の攻撃は何としてでも阻止しなければならない。

 トーマス機は僚機とともに加速し、敵空母に向かう。それを察したのか、敵空母は数隻の護衛艦とともに艦上部に装備している三連装砲を撃ち、敵艦載機も攻撃を阻止する動きを見せる。敵空母が搭載する火砲は無砲身のビーム砲であるが、放たれるのは電子と対消滅を起こす反粒子である陽電子ビームであり、貫通力や破壊力は国連宇宙海軍艦艇の装備する高圧増幅光線を凌駕する。

 国連宇宙軍も陽電子ビーム兵器は実用化させていたが、ガミラスの様な砲塔に収まるサイズにする事は難しく、それ以上に主力艦艇の動力である核融合炉では連射出来るだけのエネルギーを確保する事が出来ず、基本艦首に固定装備して第二次世界大戦時の駆逐戦車の様な遠距離狙撃に用いられる事が多かった。そのため威力の割に使い勝手が悪く、運用面にてガ
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