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不落戦艦「キイ」〜宇宙戦艦ヤマト2202・鋼鉄戦記〜
序章 月の海にて
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爆弾による直接被害を被らなかった事もあって、戦力や工業地帯、地下都市の完成度はアメリカに匹敵しており、北京そのものが遊星爆弾の直撃によって指導部ごと吹き飛んだ中国に代わって極東管区の中心国となって防衛体制を再建。第二次火星沖会戦での迎撃作戦や、3週間前に冥王星に前線基地を築いたガミラス軍を奇襲攻撃する『オペレーション・プルート』を実施したものの、ともに深刻な被害を被り、今では唯一生還した戦艦1隻を含めて僅か7隻が残るのみとなっているという。

「徹底して大都市や工業地帯を狙われたせいで生産力ががた落ちし、宇宙港の再建も遊星爆弾による被害で遅々として進んでない…そのため仮設ドックにて大型宇宙船を建造し、別の恒星系へ移住するというメイフラワー・プロジェクトが進められているらしい。極東管区だと確かイズモ・プロジェクトだったかな」

「別惑星への移住ですか…敵さんがそれを見逃してくれればいいんですがね…」

 ジャックが憂鬱そうな表情でそう呟く中、トーマスはレーダーに複数の反応が生じるのに気付く。そしてその反応からより複数の一回り小さい反応が出てくるのを見て表情を変える。

「チッ、敵さんが忍び込んできやがってる!母艦に通信!」

「りょ、了解!」

 トーマスの〈コスモデバステイター〉は主翼を翻しつつ、敵艦隊の接近を報告する。直後、先程までいた場所にピンク色の光弾が飛び込んできた。
 それを撃ってきたのは緑色の全翼機で、主翼下にはミサイルを6発搭載しており、攻撃にそれを使わなかった事から空対地装備である事が伺える。恐らく月の宇宙軍基地を攻撃しにきたのだろう。

「しょ、少尉!敵機が執拗に攻撃してきます!」

「分かってる!牽制だ牽制!」

 トーマスに怒鳴られ、ジャックは後部座席からキャノピーの直ぐ後ろにある遠隔操作式レーザー機銃を操作し、迫りくる敵機に向けて迎撃を開始する。

 電子戦の急速な普及や様々な放射線・電子線が飛び交う宇宙空間にて精密誘導兵器が最強でなくなり、代わってレーザー式機関銃やレーザー式機関砲による直接攻撃が主流となった現在、航空機の戦闘は第二次世界大戦までの銃撃主体の格闘戦に回帰していた。無論遠距離からの一撃離脱攻撃ではミサイルの有効価値が維持されていたが、やはり接近戦では機銃主体による直接戦闘がものを言った。

 エンジンとは別に装備されている動力より供給される電力を基に発生させたプラズマの光弾が、銃口から一瞬に等しい冷却期間を繰り返しながら照射され、敵機に向けて飛翔していく。敵機は僅かに機体を傾けながら回避するが、ついに先頭を進む機体が主翼にレーザー弾を被弾して黒煙を引き、よろめきながら失速していく。

 直後に別の機がトーマス機に向けて銃撃を放つが、直後に別の方向よりレーザー弾が飛翔し、
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