第112話『先陣』
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午後の試合も始めていきましょう!』
「「「わあぁぁぁぁ!!!!」」」
観客の盛り上がりは午前と比べて衰えてはいない。それもそのはず、
『【日城中魔術部】対【花鳥風月】! 若き戦士たちの争いをご覧あれ! 選手の入場です!』
この世紀の決戦をこの目で見ようと、誰もが期待に胸を膨らませているのだ。
午前の試合と比べると見劣りこそするが、学生同士の戦いという真新しさで言えば負けてはいまい。自分で言うのもなんだが、少年漫画なんかでよくある熱い展開だ。
『皆さんの盛り上がりも最高潮のようですし、早速1本目と参りましょう! 【日城中魔術部】辻選手VS.【花鳥風月】小鳥遊選手!』
「っ! 部長、これって……」
「やられたな。見事に当たりたくない組み合わせだ」
組み合わせの発表を聞き、晴登と終夜は顔をしかめる。昨日のミーティングで期待した通りにはいかなかった。
一方で緋翼はふん、と鼻を鳴らす。
「不利とか関係ないわよ。要は叩き落とせばいいんでしょ? やってやるわよ」
緋翼は自信満々にそう宣言する。
ちなみにこれは、昨日終夜が言っていた作戦のことだ。『空を飛ぶなら地面に落として戦う』。相手に有利な状況で戦わないということである。
「よろしくね! 緋翼ちゃん!」
「よろしくお願いします」
フィールドに上がる2人の少女。
舞は元気よく挨拶をし、緋翼もそれに笑顔で答える。……否、緋翼の目は笑っていない。
『両選手共、準備はよろしいですか? では、試合開始!』
「先手必勝! "居合い・焔の太刀"!」
「ひゃっ! 速いね〜」
「ちっ」
開始の合図と同時。飛ばれる前にと、緋翼は速攻で居合い切りを放つ。
が、舞が両腕を翼に変えて空へと逃げる方が僅かに早く、刀は空を切った。
「なら、"紅蓮斬"!」
「おっと危ない!」
それを見て緋翼は即座に刀を返し、続けて焔の斬撃を上に飛ばす。
しかし、これもまた身をひねられて避けられてしまった。緋翼の攻撃を二度もかわすなんて、楽観しているように見えてあの少女、相当に目が良いらしい。
鷹や鷲のような茶色く大きな翼を音を立てながら羽ばたかせ、彼女は上空を旋回する。当分降りて来るつもりはないようだ。
「やっぱり飛ばれるのは厄介ね。でも、それじゃああなたも攻撃できないんじゃないですか?」
「ふっふっふ、そうと見せかけて……そりゃ!」
「なっ! 羽根!?」
緋翼が舞に攻撃できないのと同じように、舞も緋翼を攻撃できないと思ったが、そうは問屋が卸さない。
彼女が己の翼を思い切りはためかせると、複数の羽根が勢いよく緋翼へと襲いかかる。
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