第十八話 クリスマスの光その八
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千春は目を細めてだ。こう言ったのである。
「クリスマスらしいね」
「だからね」
「鳥にしたんだ」
「この前のハンバーグだと何か違うから」
クリスマスらしくない、そうだというのだ。
「だからなんだ」
「そうだったんだね」
「うん、じゃあこれも食べよう」
希望もその一羽丸ごとローストにしたそれを見ながら話す。
「そうしようね」
「そうだね。鶏だね」
「これが凄く美味しいんだよね」
笑顔でだ。希望はまた言った。
「ローストチキンの中でもね」
「希望前にも食べたことあるの?」
「一羽丸ごと焼いたローストチキンが」
「うん、どうなのかな」
「食べたことあるよ」
「あるからわかるのね」
「そうだよ。おばちゃん達が昔作ってくれたんだ」
ここでもおばちゃんとぽぽちゃんだった。希望にとっては二人はそうした存在だった。
「そうなんだ」
「あの人達が作ってくれたの」
「僕の誕生日。その日は日曜だったんだ」
「その時におばちゃん達のところに行ったの」
「呼んでもらったんだ」
自分で行ったのではなくだ。呼ばれたというのだ。
「それで行ってね」
「ご馳走してもらったんだ」
「凄く美味しかったよ」
その目を細めさせてだ。希望はこうも言った。
「だから今もね」
「このお店で食べるのね」
「千春ちゃんと一緒にね」
他ならぬだ。彼女と共にだというのだ。
「一緒に食べるよ。それじゃあね」
「うん、食べよう」
こう話してだ。二人でフォークとナイフを使ってその狐色に見事に焼けた皮を切りその下にある見事な肉も見た。そしてその皮と肉を口の中に入れて。
まずは千春がだ。目を細めさせてこう言った。
「うん、凄くね」
「美味しいよね」
「何か普通のローストチキンよりもね」
「美味しく感じるよね」
「不思議よね。普通のローストチキンの筈なのに」
「一羽丸ごとだとね」
「何か余計に美味しい感じがするよ」
そうだと言いながらだ。千春は目を細めさせて食べていく。
「どうしてかな、これって」
「多分ね」
「多分?」
「一羽丸ごとのせいだね」
まさにだ。そこに理由があるというのだ。
「そのせいだね」
「目で見るからかな」
「そうだと思うよ。ほら、こうして一羽丸ごとどんと置いてあると」
「贅沢な感じもして」
「ボリュームもあるしね」
そうしたものを見るからだというのだ。
「だから。目で食欲を余計に掻き立てられるから」
「美味しく感じるのね」
「それでだと思うよ」
「そういえばステーキも」
「同じ重さでも何枚か出るよりね」
「一枚分厚いのが出る方が
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