第三百三十六話 初詣をしてその五
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「中吉だったよ」
「私もだったわ」
「いいね」
「そうね」
「大吉は最高だけれど」
それでもだ。
「中吉でもね」
「いいわね」
「若しも」
ここでだ、僕は香織さんに笑って言った。
「凶だったらかえってね」
「いいの」
「大抵の神社で凶は大吉よりも少ないっていうから」
「それを引いたらなの」
「かえっていいみたいだよ、住吉神宮の話だけれど」
大阪のあの神社だ、僕も何度も行ったことがある。
「あそこで凶を引いた人がいたんだ」
「そうだったの」
「そう、それでね」
「その年はよかったの」
「いいことが結構あって」
その凶を引いた年はだ。
「阪神も日本一になったんだ」
「ああ、あの年ね」
「一九八五年で」
昭和六十年だ。
「そんな風だから」
「むしろ凶引いたらいいのね」
「それで大凶はね」
漫画とかでよくネタで出て来るけれどだ。
「凶より少ないっていうか殆どの神社にないそうだよ」
「そうなの」
「何でもね」
「そうだったのね」
「だから引いたら」
その大凶をだ。
「かなりね」
「運がいいのね」
「そう思っていいよ」
「凶も滅多にないし」
「それで引いた人はそうだし」
僕達が今いる八条神宮の話でないけれどだ。
「そう思っていいよ、ちなみに引いた人阪神に何かとある人で」
「阪神ファン?」
「九州生まれでソフトバンクファンらしいよ」
聞いた限りだとだ。
「ただそれでも阪神と何かあって」
「どうあったの?」
「ご両親が出会った年は阪神が最終戦で優勝逃して」
昭和四十八年のことだ。
「産まれた年は江夏さんがトレードで」
「あの人阪神から出されたのだったわね」
「三歳で阪神最初の最下位で五歳でブレイザー監督更迭でその間引っ越した時は田淵さんトレードで」
「そこまでも凄いわね」
「幼稚園卒業したら江本さん退団で」
こと阪神にかけては波乱万丈だ。
「十歳だとね」
「阪神日本一ね」
「けれど小学校、中学校卒業の時はいつも最下位だったんだ」
「何かあると」
「二十歳の時もで就職の時も。あと大学の入学の時も助っ人が打たなくて」
「祟りみたいね」
「それで三十歳の時は優勝したら」
それ自体はよくてもだ。
「シリーズでロッテに惨敗したんだ」
「凄い人ね」
「テレビとかネットで観た試合は七割負けるらしいよ」
当然阪神がだ。
「テレビ点けたら相手チームのホームランが出たりとか」
「阪神の疫病神?」
「知ってる人はそう呼んでるよ」
どう見てもそうだからだという。
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