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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第三百三十六話 初詣をしてその三

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「洋服だよ」
「そうよね」
「けれどね、元旦だから」
「振袖の人もいるわね」
「それで袴の人もね」
 やはり元旦だからだ。
「おられるね、ただね」
「ただ?」
「いつも和服の人がいたら」
 ごく稀に今もいてくれている、そうした人も。
「いいって思えるよね」
「本当の育ちの良さっていうか気品を感じるわよね」
「風格をね。吉田茂さんもね」
 戦後長い間総理大臣を務めたこの人もだ、毒舌家だったけれど思いやりも懐の深さも備えている人だったらしい。
「葉巻を吸ってスコッチ飲んでステッキ持っていて薔薇好きだったけれど」
「イギリス趣味ね」
「元々あちらに留学していたからね」
 それで生粋の親英派であって当然英語も堪能だった。
「そちらの趣味だったんだよ」
「そうよね」
「けれど和服が好きで」
 イギリス趣味の反面だ。
「プライベートではね」
「和服を着ていたの」
「そうだったんだ」
「似合いそうね」
 香織さんは僕の話を聞いてこう言った。
「あの外見だと」
「風格ありそうだよね」
「堂々とね」
「一国の宰相に負けていないね」
「そうした感じね」
「戦後の人、政治家でも和服似合いそうな人は少ないかも知れないけれど」
 どの人もスーツのイメージだ、国会ではいつもそれだから当然と言えば当然か。
「あの人はね」
「和服が似合っていたのね」
「それで葉巻口にしてステッキ持って堂々と座っていたから」
「凄い風格ね」
「そうだったと思うよ」 
 実際にだ。
「それで吉田茂さんみたいに」
「和服をいつも着ていたら」
「もうそれだけで違うよ」
 受ける印象にしてもだ。
「恰好いいしね」
「風格も気品もあって」
「それでね、今だって」
「和服の人は違うわね」
「それだけでいいと思えるね」 
 振袖を着ている人も袴を着ている人もだ。
「本当に」
「そうよね」
「そう思うと和服着るべきだったかな」
 今更ながらこうも思った。
「そちらも持ってるし」
「和服もなの」
「うん、それでもね」
 持っていることは持っているけれどだ。
「まず着るのがね」
「大変よね」
「男の人はまだましだけれどね」
 女の人が着物を着るよりもだ。
「ずっと簡単だけれど」
「それでも大変よね」
「だからどうしても」  
 このことはだ。
「相当な覚悟でないと」
「着られないわね」
「それで着ても」
 そうしてもだ、
「動きにくいし汚れたら」
「お洗濯とかも大変よね」
「剣道部の人なんて」
 聞くところによるとだ。
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