第三百三十六話 初詣をしてその二
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「正装はあるしね」
「タキシードね」
「それは着ることあるから」
八条家の式典なんかに出る時はだ。
「一着持ってるしね」
「持ってるの、タキシード」
「八条家にいたらね」
そこにいる人ならだ。
「誰でもね」
「持ってるのね」
「式典にも出るし」
それにだ。
「そうした格式のあるパーティーにもね」
「出るのね」
「そうした時があるから」
それでだ。
「僕もね」
「タキシード持ってるのね」
「そうなんだ」
「じゃあ今日にでも」
「お寺や神社にタキシードはね」
僕は香織さんにそれはと少し苦笑いになって返した。
「ちょっと違うよね」
「そうね、タキシードはね」
香織さんも言われてそれはという顔になって答えた。
「やっぱりね」
「西洋のものでね」
「お寺や神社にはね」
「場違いだよね」
「ええ、どっちも日本のものだから」
お寺も神社もだ。
「それでね」
「礼装なら袴ね」
「紋付のね」
「そちらね」
「それで女の人なら」
「着物ね」
「結婚していない人は振袖でね」
そうしてだ。
「それで行くものだけれど」
「それでもね」
「元旦でもないと」
それこそだ。
「着ないよ」
「着物は」
「特別な服だよ」
日本の服だけれどだ。
「そうなっているよ」
「そう簡単に着られなくて」
「価値もね」
江戸時代の町人の人達が着る様なものじゃない、絹でしかも模様も奇麗なものだ。そういった服ではだ。
「特別でね」
「それでよね」
「元旦そして成人式みたいな」
「そうした日でないと」
「もうね」
とてもだ。
「着られないよ」
「やっぱり着る服は」
「今だとね」
「洋服ね」
「これは日本だけじゃないよ」
我が国に限らずだ。
「他の国でもね」
「同じよね」
「うん、安くて動きやすくて」
そうしてだ。
「着やすいから」
「どうしてもそうなっているわね」
「だから僕だって」
こうお話する僕もだ。
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