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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第三百三十五話 お化け屋敷の次はその八

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「その時の兎の顔を思ってもね」
「鬼みたいな顔かしら」
「鬼だね」
 本当にだ。
「それもただの鬼じゃなくて」
「復讐鬼ね」
「鬼の中でもかなり酷い」
「冷酷なのが鬼よね」
「無慈悲なのがね」
 だからそうした人を鬼と呼ぶし鬼の目にも涙なんて言葉がある。
「そうだよ、鬼は只でさえそうなのに」
「復讐鬼はさらになのね」
「憎しみに心を支配されていて」
 あの兎がそのままでだ。
「延々とどんな卑劣で陰湿でもね」
「徹底的にやっていくから」
「もうその顔もね」
「凄いものになってるのね」
「憎悪と残酷さで歪んだ」 
 もうそうしただ。
「とんでもない顔だと思うよ」
「苦しむ狸と嗤う兎ね」
「もうその場面は」
 火を点ける時も辛子を塗る時も海で溺れさせて殺す時もだ。
「物凄い顔でね」
「お化け屋敷には充分ね」
「幽霊が怖いのはその心だから」
 古典では本当によく出て来る、源氏物語でも出て来る。
「怨みや嫉妬、憎しみとか怒りとか」
「そうした感情が出ているから怖いのね」
「それがない幽霊なんてね」 
 それこそだ。
「身体のない人だから」
「それだけね」
「何でもないよ」
 身体がないだけの人が前に出て来てもだ。
「香織さんだって聖人みたいな人知ってるよね」
「いい人ね」
「そんな人が死んで出て来ても怖いかな」
「そうね、いい人ならね」 
 香織さんも答えてくれた。
「別にね」
「そうだよね」
「けれど怨みを持っている人とか」
「そうした人が出て来るから怖いんだ」
「それで幽霊も怖いのね」
「妖怪だってね」
 考えてみればだ。
「怨みとかあったり襲ってこなかったら」
「何でもないわね」
「別にから傘とかろくろ首とか怖くないよね」
「全然ね」
「人を襲う妖怪は獣だから」
 野生のそれと同じでだ。
「そうした意味で怖いけれど」
「別に怨みとかない妖怪は」
「怖くないよね」
「言われてみるとね」
「怖いのはね」
 本当にだ。
「その心で」
「だから怨みとかを持っている幽霊は怖くて」
「かちかち山の兎もね」
「怖いのね」
「あの兎は憎しみとかの塊だから」
 そうとしか思えない、僕にとっては。
「だからね」
「怖くて」
「こうした暗がりで音楽や動きもあって怖くさせているよりも」
 今僕達の目の前には晒し首が二つ置かれている、凄く苦しそうだけれど馴れると怖くはないものだ。
「あの兎がそのままあってね」
「狸を攻撃していて」
「その時の姿特に顔があったら」
「かなり怖いわね」
「復讐鬼の顔位憎悪で歪んでるものはないよ」 
 僕が思うにだ。
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