第三百三十五話 お化け屋敷の次はその七
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「そんなのね」
「悪くないわよね」
「人が誰かを好きになるって」
このことはだ。
「そりゃ相手がいる人なら引くべきでも」
「それでもよね」
「そのこと自体は悪くないよ」
「そうよね」
「それがただ断らず」
「残酷な仕打ちは」
「許されないことだよ」
告白以外何もされていないのにだ。
「本当に」
「それで周りの人達は」
「何が許せないのか」
僕にはわからない。
「けれどね」
「振った人に協力して」
「その人を徹底的に攻撃したから」
「今批判されてるのね」
「そうだよ、断り方にもね」
それにもだ。
「やっぱり思いやりが必要だよ」
「それがない人は」
「駄目だよ、そしてかちかち山の兎も」
太宰のものでなく原典の方だ。
「幾ら何でもね」
「残酷過ぎるわね」
「延々と責め苛むから」
騙して残虐な方法でだ。
「もうね」
「やり過ぎとしかね」
「思えないよ、憎しみに心を支配されてるよ」
あの兎はだ。
「あれは復讐鬼だよ」
「嫌な言葉ね」
「もう復讐鬼になったら」
それこそだ。
「終わりだよ」
「そうなのね」
「あの兎お爺さんとお婆さんを想っていて」
このことはよくわかる。
「そして正義感もあるよ」
「性格は悪くないのかしら」
「おおむねね、ただね」
それでもだ、悪くはなくても」
「正義かっていうとね」
「言えないわね」
「幾ら悪い相手でもあそこまで出来る」
それも延々とだ。
「そんな人、兎だけれど」
「いい人か」
「絶対に狸が苦しんでいるの見て笑っていたよ」
背中に火を点ける時も辛子を塗った時もだ、そして溺れている時に助けるふりをして殺した時もだ。
「あんなことして笑えるって」
「おかしいわね」
「確かに人間嗜虐性ってあるけれど」
誰かをいたぶって喜ぶ、これ自体が嫌な習性だと思う。
「あの兎はね」
「それが強過ぎるのね」
「後ろからでもね」
これ自体がどうでもだ。
「普通は一太刀でね」
「終わりよね」
「あんな火を点けるとか」
切るより遥かに痛くて苦しいのにだ、火傷の範囲は広くてしかも長い時間燃えてそれでとんでもない激痛と苦痛を味わう。
「本当にこの時点でね」
「残酷過ぎるわね」
「お化け屋敷にいてもおかしくないよ」
その残虐さの恐ろしさたるやだ。
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