第十七話 冬の入り口その九
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「頭にくるわ。それでね」
「あいつ最初は留年しそうだったのにね」
「今じゃ七番よ」
「それで調子に乗ってるのよね」
「ただのデブだったのに」
かつての彼がだ。野田の彼だった。
だが今の彼はそんな風になっていたのでだ。こうも言うのだった。
「これじゃあ振った私が馬鹿みたいじゃない」
「それで私ただの悪役よ」
野田と一緒に希望を虐げただ。それになっているというのだ。
「完全に貧乏くじじゃない」
「そうよね。もうね」
「頭にくるわよ」
希望、千春を見て口を歪ませていっていた。
「何だってのよ」
「同感よ」
永田はその野田に同じ表情で返した。
「本当にね」
「そうよね。これじゃあね」
「何で私達が悪役にならないといけないのよ」
「人を見る目がない馬鹿呼ばわりだし」
「全くね。嫌な状況よね」
「何だってのよ」
二人で言っていく。しかしだ。
その二人にだ。クラスの女の子の一人がだ。こう言ってきたのだった。
「そう言うと余計によくないわよ」
「余計に?」
「余計にって何がよ」
「だから。そう遠井君達のことを言うのってね」
「よくないっていうの?」
「そうだっていうの?」
「そうよ。女下げるだけよ」
二人がだ。かえってそうだというのだ。
「かえってね」
「何で私達が女を下げるよ」
「意味わからないわよ」
「だから。あんた達は遠井君がデブで成績が悪いってだけで振ってしかも攻撃したわよね」
「私デブ嫌いだし」
「馬鹿だったら言われて当然でしょ」
二人は腕を組んで口を尖らせて反論した。
「それで私達が言ってどうだってのよ」
「どうして女を下げるっていうのよ」
「私も今になって気付いたけれど。遠井君のよさに気付かなくてね」
二人がだというのだ。そして彼女自身も。
「彼、性格は奇麗だったのよ」
「性格?」
「性格が?」
「学校の勉強も努力すればよくなるわよ。それに体型だって」
そちらもだ。努力すればだというのだ、
「ああなったのよ。本当にそれだけだったのよ」
「で、私達はそれに気付かなかったっていうのね
「そう言いたいのね」
「そうしたことに気付かないのならまだよくてもね」
それでもだとだ。彼女はその野田と永田に言っていく。
「それを認めればいいのに。それ以前にね」
「以前にって」
「今度は何よ」
「あんた達遠井君の下校中に待ち伏せて何人もで聞こえる様に陰口言ったり上から思いきり罵ったり悪口言いふらしたりしてたでしょ」
「今度はそれ?」
「そのこと?」
「だから。そのことも今になって言うけれど悪いことだったのよ」
彼女
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