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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
人鬼-あいいれない-
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から。
それだけで彼らは、京都を滅ぼそうとした。
大混乱に陥れ、鬼と人を争わせ、都を殺そうとした。
彼らは笑っている。
嬉々として全貌を語った。
狂っている。イカれている。
このような外道は…ここで倒さねばならない。
だが、

「マスターも飽きたと申しております。ここでチャンバラに興じている時間はありませぬゆえ。」

道満が御札を手に取る。
それをギュッ握りしめると、

「な、なん…からだが…からだが…!!」

守護隊の一人の体が突然ぶくぶくと膨らみ出す。

「だ…だすげ」
「ひぃっ!?来るなァ!!」

助けを求めようにも、そのおぞましさ故仲間は離れていく。
やがて膨らんだ身体は自らを圧迫し、動くことや話すことすら不可能にする。
そして、

「ばぎゅ」

限界まで膨らんだ男は風船のように弾けた。
周囲に飛び散る血の霧。辺りにまきちされた肉の匂い。
そして、

「では、これにて。」

マスターを腕に抱え、蘆屋道満はその場から消え去った。

「待て外道!!」

武蔵は後を追おうとするも、散布された血の霧の効果は絶大。
視界が大幅に制限され目視で道満を追うことは不可能であった。
そう、適当に人を殺したのではない。
逃走用の煙幕変わりとして殺したのだ。

「まだ魔力の反応を追えば…!」
「もういい、武蔵。」

そうして血の霧が晴れ、視界がハッキリとしてくると既にそこに道満とそのマスターの姿はなく、怯え腰を抜かす守護隊の者達だけだった。

「でも…!」
「逃がしたのは確かに惜しい。だがここで深追いしては逆に奴らの罠に嵌められる可能性だってある。」
「…。」

そう言うと、武蔵は渋々刀を鞘に収めてくれた。
さて、これで問題はひとつ解決したようにも見えるが、

「私達に濡れ衣を着せて、殺し合いをさせるつもりだったなんてね。」

かの鬼の領域の頭領、伊吹童子が口を開く。

「確かにあの蘆屋道満は中々の策略家だった。流石の源氏の頼光様も騙されちゃったんだもの。誰も見抜けなくて当然よ。」
「…ッ!」

皮肉にも聞こえる彼女の言葉。
その言葉に頼光は顔をしかめるも、鞘にかけたその手はまだ刀を抜かずにこらえきった。

そう、まだなんにも解決していない。
京都は滅茶苦茶、そして…

「仕方ないとはいえ私達鬼を疑い、挙句の果てにはちょうどいい口実が出来て殺そうとしたんですってね。」
「道満があのようにせずとも…いずれはあなた方の首は刈り取るつもりでしたが…。」
「わぁこわい。」

鬼と人、
1つの境界線に隔てられたその2つの関係性は解決していない。
むしろ悪化している。


「でもね、鬼にもプライドがあるの。舐められたら舐められっぱなし
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