第12節「唄えぬ理由はどこにある?」
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他者に深く傷付けられた経験があるからこそ、彼女は他者を傷付ける事を厭う。
立花響にとっての未熟さであると同時に、彼女にとっての心の傷。否定する事は出来ない性分であった。
それを誰より理解しているからこそ、小日向未来は考える。
どうすれば、響の迷いを断ち切る事が出来るのか。
奏やマリア、そして翔が本当に伝えたかった事とは、一体何だったのかを……。
やがて未来は足を止め、再び響へと問いかけた。
「響は、初めてシンフォギアを身に纏った時のことって覚えてる?」
「どうだったかな?無我夢中だったし……」
「その時の響は……誰かを傷つけたいと思って歌を唄ったのかな……?」
「え……」
一年前、初めてガングニールを纏った覚醒の夜。
ノイズに襲われていた少女を抱え、必死で街を走り続けた時。
追い詰められ、体力は殆ど尽き、最早これまでかと諦めかけた瞬間。
胸に、歌が宿った。
あの日、あの時、あの夜に、自分は何を想ったのだろう。
立花響は考える。
(あの時……わたしが願ったのは……)
その時だった。
「ッ!?誰!?」
「あなたは……」
突然現れた赤髪の訪問者。
その両手には、触れるもの全てを切り裂かんとする巨大な鉤爪。つり上がった口角には、ギザギザとした歯が並ぶ。
火の天使の杖と名付けられた戦闘人形は、響の方をじっと見つめると、恐怖を感じるほどに無邪気な声で呟いた。
「み つ け た ゾ」
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