暁 〜小説投稿サイト〜
潮騒の中で
第五章

[8]前話 [2]次話
「何か急に泳げなくなったからな」
「助けたんだな」
「咄嗟に」
「そうしたのね」
「左足に急に凄い痛みが走って」
 黒部は意識はしっかりとしていた、そうして吉永に肩を担がれたまま話した。
「それでなの」
「?凄い腫れてるな」
「まさかと思うけれど」
「クラゲ?」
「それか魚か」
「それはわからないけれどな」
 それでもとだ、水泳部の顧問がここで言った。
「何はともあれ刺されたんならすぐに病院だ」
「それで診てもらうことですね」
「足を」
「そうした方がいいですね」
「クラゲでも魚でもな」
 どれでもというのだ。
「毒だったらすぐに手当てをするんだ、いいな」
「はい、それじゃあですね」
「すぐに病院にですね」
「行くべきですね」
「先生は車に乗って来たからな」
 水泳部の顧問が言ってきた。
「だからすぐに病院に運ぶぞ」
「わかりました」
「じゃあお願いします」
「黒部さん病院に連れて行って下さい」
「そうするな」
 先生が言うとだった、彼女の肩を抱えている吉永も言った。
「俺も」
「付き添ってくれるか」
「勝負しましたから」
 それでというのだ。
「そうします」
「そうか、それじゃあな」
「いいですか」
「ああ、むしろ付き合いたいとか言ってな」
 それでとだ、先生は吉永に答えた。
「来ないとかな」
「駄目ですね」
「そんなこと言うなら絶対に付き合うな」
「そうなりますね」
「だからな」
 それでというのだ。
「お前も来い」
「そうします」
「それでこそだ」
 先生は彼に笑顔で言った、こうしてだった。
 吉永は黒部に付き添って病院に行った、その彼女を診察した医師はこう言った。
「クラゲですね」
「クラゲに刺されたんですね」
「はい、この季節結構海にいますから」
 それでというのだ。
「こうしたこともあります」
「そうですか」
「ただ命に別状はありません」
 医師はこれは大丈夫だと話した。
「ただ腫れているだけで」
「それだけですか」
「痛いでしょうが」
 それでもというのだ。
「薬は出しますしそれだけです」
「後は痛みが引いたら」
「心配はいりません」
 黒部に笑顔で話した、そして実際にだった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ