第四章
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「もうここまできたらな」
「ああ、思いきり泳ぐことか」
「そして勝て、いいな」
「これまで毎日泳いできたしな」
「お前はよくやった、ただ負けてもな」
念入りに準備体操をする彼にこうも言った。
「くよくよするな、全力でやったならな」
「それならか」
「もう悔やむな、そして悔やまない様にな」
「全力でか」
「泳げ、いいな」
「わかった、そうするな」
吉永は井口に真面目な顔で答えた、そうしてだった。
二人は準備体操を終えると同時に海に入った、そして観衆の一人の合図でだった。
泳ぎはじめた、黒部は流石の速さだったが。
吉永も負けていない、観衆達は二人のクロールを見て言った。
「二人共速いな」
「黒部は流石にしてもな」
「吉永君も凄いわね」
「ああ、練習していただけあるな」
「部活の練習とは別にね」
「元々運動神経よかったし」
それはバスケで鍛えられていた。
「体力もあったし」
「それで練習をしたら」
「例え水泳部でなくても」
「やっぱり結構なものになるな」
「そうだな」
「水泳部に欲しいな」
観衆の中に水泳部の顧問もいたが彼はかなり本気で言った。
「バスケ部なのが残念だ」
「それ位いいですよね」
「あいつがそれ位頑張ってきたってことですね」
「そういうことですね」
「そうだな、あれじゃあどっちが勝ってもな」
水泳部の顧問は腕を組んで述べた。
「おかしくないな」
「そうですね」
「果たしてどっちが勝つか」
「わからなくなりましたね」
「これはな」
実際にとだ、水泳部の顧問も言った。確かに二人はいい勝負だった。
海をかなりの速さで泳いでいきそうして島までほぼ同時に到着し。
すぐに戻って来た、その速さもかなりで帰りのかなりの距離になってもどうなるかわからない位だった。
観衆達は勝負している二人に声援を送った、見ているうちにどちらかに勝って欲しいと心から思った。だが。
ゴール近くまで勝負を競っていたが急にだった。
黒部が動きを止めた、そして沈みだした。皆それを見て驚きの声をあげた。
「!?足がつったのか?」
「まさか」
「これは危ないぞ」
「どうなったんだ」
「すぐに助けないと」
「このままだと大変だ」
皆すぐに助けに行こうとした、だが。
吉永はその黒部のところに行った、そうして。
沈みかけていた彼女を担いだ、そのうえで数メートル進むと幸いにして足が着いたらしくてだった。
彼はそのまま黒部を担いでビーチに上がった、そのうえで言った。
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