第三章
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「だからな」
「夜は駄目だよな」
「何よりも見えないからな」
夜はというのだ。
「あんな危ない場所はないぞ」
「夜の海は、だよな」
「だから絶対に泳ぐな」
夜はというのだ。
「サーファーもわかってる奴は早朝波乗りするだろ」
「夜はビーチで寝袋とかの中で寝てな」
他にはボードを入れている袋を寝袋代わりにして中に入って寝る。
「そうしてるな」
「そうだろ、本当に絶対にな」
「夜は泳がないでか」
「部活の前でも後でもな」
「泳ぐことか」
「そうしろ、夜に泳ぐしかないならプール行け」
井口は吉永にこうも言った。
「ジムにあるな」
「ああ、そこで泳ぐことか」
「そうしろ、兎に角練習してだ」
水泳のそれをというのだ。
「挑めよ」
「どうしてもあの娘と付き合いたいならだよな」
「そうしろ、いいな」
「わかった、そうするな」
吉永は井口の言葉に頷いてだった。
部活の練習をしつつそのうえで時間を惜しんで水泳の練習もしていった、運動部に所属していても水泳は専門外だったが。
毎日時間を惜しんで練習をした、そして勝負の日にだった。
吉永は水着姿になってビーチで黒地に赤や白のラインが入った競泳水着姿のよく日に焼けた肌で背は一六六あるスタイルのいい少女と対していた。気の強そうな目で唇は小さく引き締まっている。髪の毛は黒のショートで耳が完全に出ている。
黒部千夏、吉永と同じ高校で同じ学年の彼女は自分の前に立っている吉永に対して強い声で言った。
「それじゃあ今からね」
「ああ、勝負してな」
「向こうの島まで行って帰るまでが勝負よ」
ビーチからニキロはある小島を指差して言った。
「いいわね」
「あの島まで行って帰るまでだな」
「そうよ、それであんたが勝ったらね」
その時はとだ、黒部は吉永に告げた。
「あんたと付き合うわ、けれど私が勝ったら」
「この話はなしだよな」
「そうよ、じゃあいいわね」
「ああ、それじゃあな」
「行くわよ」
こう言ってだ、二人は準備体操に入った、観衆は皆同じ高校の者達だった。
「さあ、どうなるかな」
「この勝負凄いな」
「ここは吉永君に勝って欲しいけれど」
「果たしてどうなるか」
「千夏ちゃんエースだし」
水泳部の二年のというのだ。
「無茶苦茶速いしね」
「さあ、どうなるか」
「吉永も毎日水泳の練習してたしな」
「バスケ部でも頑張ってたけれど」
「流石に相手が水泳部のエースだとな」
「勝つのは難しいか?」
「相手が女の子でも」
観衆達はビーチを見ながら言った、その中で井口は吉永に対して言った。
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