第一章
[2]次話
地震雷火事
東京の葛飾に代々暮らしている渥美古奈美は通っている高校の図書館で放課後テスト前の勉強をしながらその休み時間にイタリアから彼女が通っている高校に留学してきたカーチャ=ラ=スコラにこう言った。
「この東京って地震が怖いのよね」
「あの、日本って」
カーチャは古奈美に眉を曇らせて言った、縮れたブロンドの髪を後ろで束ねている。彫のある顔立ちで眉は細くきりっとしている。黒い目の睫毛は長く赤い唇は引き締まっている。背は一五〇位でメリハリのあるスタイルである。
「本当に地震多いわね」
「そうでしょ」
古奈美も言った、黒髪をボブにしている、八重歯の目立つ口で唇はピンクだ。あどけない目をしていて眉は黒く細い。色白の童顔で背は一四六程だ。赤いスカートと濃い水色のブレザーで赤のネクタイと白いブラウスという制服である。
「もうしょっちゅう速報入るでしょ」
「滅茶苦茶多いわね」
「これが日本でね」
「東京は特に多いわね」
「地盤がね」
「何か異常があって」
「それでなのよ」
そのせいでというのだ。
「普段から結構揺れていてね」
「何度か大地震になってるわね」
「そうなの、江戸時代からね」
「あの、関東大震災って」
カーチャは古奈美にどうかという顔で話した、高校の食堂で一緒にうどんを食べつつ話している。カーチャは日本語も箸の使い方も中々だ。
「お話聞いたら」
「凄いでしょ」
「無茶苦茶じゃない」
「かなりの人が亡くなったのよ」
「戦争並によね」
「空襲でもね」
東京大空襲だ、第二次世界大戦のこれでは十万もの人が命を落とした。ガラスの兎という小説にも書かれている。
「かなりの人が亡くなったけれど」
「関東大震災でもなのね」
「そうなの」
「地震は怖いけれど」
カーチャは真顔で言った。
「日本は特別ね、それも全土で起こるわね」
「ううん、熊本でも起こったりね」
「東北大変だったわよね」
「ええ、あの地震も酷かったわ」
古奈美は眉を曇らせて答えた。
「津波もあったし」
「最悪の事態になったわよね」
「そうだったのよね」
「カーチャも知ってるのね」
「世界的なニュースだったわよ」
カーチャも真顔で話した。
「あの地震は」
「それでよね」
「知ってるのよ」
「そうなのね」
「あれは酷かったわね、あと関西でも新潟でもね」
「もう日本にいたら」
それこそというのだ。
「地震からはね」
「逃れられないわね」
「どうしてもね」
「厄介なことね」
「それがね」
どうしてもと言うのだった。
「日本の宿命よ」
「嫌なことこの上ない宿命ね」
カーチャはしみじみとした口調で古奈美に返した。
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