第零話 プロローグ
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空を見上げると、どこまでも青く澄んだ空が広がっている
ためしに肺いっぱいに空気を吸い込んでみると、少しひんやりとした新鮮な空気が肺にしみわたって気持ちいい――
――なんて物語のようなことはなく、見上げるとうっそうと茂る木々のせいで空なんてものは見えず、あげく、吸い込んだ空気は目の前の植物のせいで嫌な味しかしない
俺、《キョウ》は、吸い込んだ空気を思いっきり面倒そうにはき出した
……いわゆる、溜息、というやつである
今、俺がいるのは巨大浮遊城《アインクラッド》の第一層にある森の中だ
ちなみにここ、息に味まであるが仮想世界、つまりゲームの中である
そのゲームの名前は《ソードアート・オンライン》
仮想世界で剣を振るって戦ったり、釣りをして過ごしたりと何でもできる夢のようなゲームである
そんな夢のようなゲーム、重度のネットゲーム中毒者の俺が飛びつかないわけがない
まあ、そんな俺でもこのソフトを発売日に買えたのも、とりわけベータテスターというお試しプレイに当選できたのも運が良かったとしか言えないのだが。なにせ、ベータテスターの枠は希望者十万人に対してたった千人だったのだから
そんなわけで、俺はサービス開始と同時にログインし、適当に武器をそろえた後ダッシュで隣町に行き、ベータテスターのときにお世話になった片手剣を貰うためクエストに励んでいる
なぜろくな修行もしないまま隣町に行ったかというと、理由は至極簡単、レベル上げのためである。俺がベータテスター時代にやっていた戦闘スタイルは多くの種類のスキルが必要だった。しかし、レベル1の俺のスキルスロットはたった2つ、これでは片手剣と索敵スキルだけで埋まってしまう。スキルスロットを増やす方法はレベルアップ、これにつきる。なので多少危険を冒してでも強い敵のいるところに修行に行こうと思ったのだ。
―――それに、デスペナ食らっても貰った経験値がなくなるわけでもないしな……
少なくてもこの時の俺は、まだそんなことを考えていた
そう、まだこの時までは―――
ところで、いま俺が受けているクエストはこの森に出るモンスター《リトルネペント》が落とす胚珠を依頼主に届ける、という至極単純なものである。どうやら、依頼主の娘さんが病気らしい。
そう、そこまでは良かったのだが―――
「だーーこんちくしょう!! いったいいつになったら《花付き》が出んだよ!!」
その胚珠は《リトルネペント》の
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