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先輩の為に
第四章
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「世紀末の世界だな」
「完全な無法地帯だったんだな」
「学校の中もそうで」
「まさにヤクザ養成機関だったんだな」
「凄い学校もあったな」
「っていうかどんな学校だよ」
「まともな人間が学校の中で数えるだけってな」
 何と校長以下の教師や生徒達どころか以前学校に勤務していた者や卒業生にまで捜査の手は及びまるでテロを犯したカルト教団の捜査及び逮捕の様になり。
 学校関係者で逮捕されなかった者は極めて僅かだった、当然桝添やその取り巻き達も逮捕された。しかも彼等は学校関係者の中でも特に悪質だったので後に桝添は死刑となった。
 言い寄る者が社会的どころか言葉通りの意味で死ぬことになったので悠は安全になった、悠はこのことに笑顔になった。
「よかったわ、私も困っていたから」
「本当によかったですね」
 綾音はその彼女に満面の笑顔で応えた、だが。
 彼女のクラスメイト達は事件の後で彼女に問うた。
「まさかと思うけれど」
「あの学校のことあんたが?」
「あんたが地検と警察に密告したの?」
「そうだったの?」
「あっ、知らないから」 
 言っていても目は泳いでいた。
「別にね」
「いや、あんたこの前探偵事務所にお話してたでしょ」
「明智何とかって人に」
「あの伝説の名探偵のところに行って」
「そうだったわね」
「私知らないから」
 こう言ってもやはり目は泳いでいた。
「そんなことは」
「いや、嘘でしょ」
「そんな筈ないでしょ」
「ずっと目が泳いでるし」
「それはないでしょ」
「まあ兎に角先輩に悪い虫がつかなくてよかったわ」
 つまり桝添達が根本からいなくなってというのだ。
「もうこれからもね、そんな奴がいたら」
「抹殺するのね」
「その時は」
「今度は目が本気だし」
「どうしようかしら。けれど先輩が幸せになるのなら」
 綾音は今度は目をきらきらとさせて言った。
「許されるわね」
「相手が犯罪者の場合はね」
「そうだけれどね」
「まあそれでもね」
「先輩は助かったわね」
「その為に私はいつも全力を注いでいくから」 
 やはり目をきらきらとさせていた、そしてだった。
 綾音は悠と同じ大学同じ職場に進み彼女の後輩であり続けた、悠は聖人と言っていいまでの人格者と結婚出来たがそこに綾音が密かに関わっていることは公然の秘密だった。綾音自身結婚したがずっと悠の傍にいた。
 だが当の悠は。ずっと人格も能力も外見も非常に素晴らしかったがそれでもだった。綾音についてはこう言った。
「不思議な縁で私といつも一緒にいて私みたいな者を慕ってくれてフォローもしてくれる素晴らしい人です」
「ま、まあそうですね」
「そうした人ですね」
「貴女がそう思うならそうですね」
「やっぱりそうですよね」
「はい、
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