壱ノ巻
由良の縁談
4★
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似てる、って具体的なことはいえないけど。なんとなく、雰囲気かな?が似てる気がする。
「はは、似ていますか。そう言われたのは初めてですね」
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男は、にこと口の端をあげて笑った。
う。
かっこ、いい…。
「…」
「姫?私の顔に何か?」
「う、ううん。なんでもないのよ。なんでも」
あたしはぱたぱたと手で顔を仰いだ。
「あんた、名前はなんていうの?」
「私ですか?そうですね…鷹男、です」
「鷹男、鷹男ね。じゃぁ、鷹男」
「はい?」
「あんた、誰?」
「…はい」
「あんたさ、そんな服着てるけど、もっと全然上の身分の人じゃない?」
鷹男が、黙る。
暫しの沈黙。
不意に、鷹男が笑い出した。
「な、なによ」
「姫、凄いですね。やはり貴方は普通の姫ではありませんね」
「あんただってあたしを姫だって見抜いたじゃないの。おあいこよ」
「おあいこ、ですか。そうですね」
「で、あんたどこの家の子?…まさか」
ふとひとつのことが頭に浮かぶ。
「…あんた、由良、知ってる?」
「佐々家の末の姫ですね。知ってますよ」
「あんた、まさかとは思うけど、三浦家の者、じゃないでしょうね」
まさか、こいつが由良の想い人…
「いいえ?」
な、ワケはないか。そうそう世の中は都合よく出来てないわよねぇ。
「三浦にお知り合いでも?」
「ううん。そういうわけじゃないわ。じゃぁあんたどこの人?」
鷹男は意味深に笑う。笑うだけで何も答えない。
「織田?な、ワケはないわね。柴田かしら。あ、でもちょっと亦柾に似てるから徳川の人?」
「では姫こそどこの姫ですか?見覚えがなくもないのですが…」
「あら、あたしもあんた何処かで見たような気がするわ」
「それは光栄ですね」
「で、あんた結局何処の…」
「つきましたよ姫」
「へ?」
ふと気がつくと、あたしは天地城の正門にいた。
「私はまだ用事があるので、ここまででいいですか?」
「あ、うん。ありがと」
「では、また逢いましょう姫」
にっこりと微笑んで鷹
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