第五章
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「海軍にも陸軍にもな。頭はともかく体力と体格でな」
「頭がよくてもですか」
「軍人だからその二つも必要でしたか」
「体力と体格も」
「そうでしたか」
「そうであった、見ればわかるな」
播磨の若き日の姿を見せつつ述べた。
「播磨君を」
「今も背高いですしね」
「かなりのお歳でもしっかりしてますし」
「体力もですね」
「相当だったんですね」
「遠泳も平気であったぞ」
こちらも出来たというのだ。
「兵学校よりはと思うが」
「いや、頭だけでなく遠泳も」
「それもなんて」
「相当ですね」
「そうじゃ、それも凄かった」
こう言ってだった。
博士は学生達に共にうどんを食べつつ播磨のことだけでなく海軍のことも話していった。その日曜日。
当の播磨は曾孫達を連れて八条大学と自宅のある神戸市の港に来た海上自衛隊の船を観ていた。その時に。
「ひいお祖父ちゃんどうしたの?」
「軍艦見て凄く嬉しそうだよ」
「自衛隊の船好きなの?」
「そうなの?」
「はい」
播磨は曾孫達に紳士的な微笑みで答えた。
「若い頃から」
「そういえばひいお祖父ちゃん自衛隊にいたんだよね」
「昔は海軍っていったんだよね」
「海軍にいたんだよね」
「そうだったね」
「もう随分昔のことです」
今度は懐かしい笑顔で話した。
「まだ貴方達のお祖母さん達が生まれていない」
「そんな昔なんだ」
「お祖母ちゃんもまだいなかったんだ」
「そこまで昔なんだ」
「私は海軍にいまして」
そうしてというのだ。
「楽しい日々を過ごしていました。そして今の私も」
「今も?」
「今もなの」
「今のひいお祖父ちゃんもなんだ」
「その頃があるからこそです」
海軍にいた頃の自分があるからだというのだ。
「今の私もあります」
「そうなんだ」
「今のひいお祖父ちゃん海軍にいたからなんだ」
「それで今のひいお祖父ちゃんになったんだ」
「そうです、海軍は私の柱です」
曾孫達に温かい顔で話した。
「その頃のことを思い出します」
「じゃあそのお話聞かせて」
「今からね」
「そうして、ひいお祖父ちゃん」
「それでは」
播磨は曾孫達に応え彼の若き日のことを話した、それは学生達の知らない彼の姿であった。頭のよさ等を抜きにした。
しかし学生達は言うのだった。
「流石だな」
「経理学校首席って凄いな」
「東大以上なんてな」
「やっぱり違うな」
こう話すのだった、そこにある播磨は実際の播磨とは違っていたが頭のよさから見るとそうなのだと悪魔博士は後で学生達に話した。そうして彼等もやっと播磨がわかったのだった。
成績優秀で 完
2021・4・15
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