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深層の令嬢でも
第一章
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                深層の令嬢でも
 島津未可子は代々続く地元の名家の長女である、大きな家で何不自由育ちかつ上品で穏やかな性格である。
 黒髪を長く伸ばしいつも微笑んだピンクの唇で大きなあどけない瞳に細く奇麗なカーブを描いた眉を持っている。
 色白で背は一六〇程だが胸は八十八はある。成績優秀でありいつも勉強をしている。それでだ。
 彼女と同じ通っている高校の一年生のクラスメイト達はこう言った。
「今度の水泳大会だけれど」
「島津さんはどうかしら」
「勉強は出来るけれど」
「運動はそこそこだしね」
「水泳もね」
「どうかしら」
「駄目じゃないかしら」
「けれど全員参加だから」
 その大会はというのだ。
「出てもらわないとね」
「絶対に」
「じゃあ何か出てもらおう」
「水泳大会もね」
 女子生徒が中心に話してだった。
 未可子本人にもだ、こう言った。
「今度の水泳大会だけれど」
「島津さんも出てくれる?」
「全員参加だし」
「何か出てくれる?」
「そうしてくれる?」
「はい」
 未可子は微笑んで答えた。
「それでは」
「うん、そう言ってくれたら嬉しいわ」
「全員参加でも嫌とか言う人いるしね」
「じゃあお願いね」
「出てね」
「はい、それでどの競技でしょうか」 
 未可子はクラスメイト達、女子の彼女達に自分から問うた。
「それで」
「それはこれから皆でお話しましょう」
「男子は男子で話してるし」
「私達は私達で話してね」
「それで決めましょう」
「そうしましょう」
「わかりました」
 未可子は一切断らなかった、そうしてだった。
 未可子の参加が決まった、女子達は早速彼女を交えて誰がどの競技に出るか話した。しかし女子達の何人かは彼女達だけで話した。
「島津さんは参加してくれるけれど」
「快諾してくれたけれど」
「運動は本当にそこそこだしね」
「多分水泳もだし」
「それじゃあね」
「あまり重要な競技には出せないわね」
「やっぱり泳ぎの得意な娘が大事な競技に出てもらおう」 
 得点の高いそれにというのだ。
「幸いうち水泳部の娘多いし」
「そうね、それじゃあね」
「そうした娘を優先的に大事な競技に回して」
「それでそこそこの娘は大事でない競技」
「そうしてもらって」
「島津さんもね」
「そうしてもらいましょう」
 こう話してだった。
 女子全員を交えた選手の割り当てにおいてだった。
 一人一人出てもらう競技を決めていったが。
 未可子は二十五メートルの背泳ぎの選手の一人になった、これは大会で一番得点の競技だった。見れば他に出る娘も運動は不得意な娘達だった。
 その背泳ぎの選手に決まった未可子にクラスメイト達は話した。
「じゃあお願いね」
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