第二章
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「実はその人に会ったことないんだよ」
「話を聞いただけか」
「それだけなんだよ」
「じゃあ一緒に会いに行くか」
「その寺に行ってな」
二人でこう話してだった。
共に暇な時に一緒にだった。
その寺に行った、そこは街の山にあって石の階段を登ってそこに入った。そして寺の若い尼僧修行中と思われる彼女にだ。
住職と会いたいと言うとだった。
すぐにどうぞと答えが来て寺の本堂に案内された、尼僧はすぐに住職を呼びに行ったがここでだった。
荒木は藤原に本堂の寺のご本尊である十一面観音の像を観つつ言った。
「尼さんだけれど髪の毛あったな」
「奇麗な黒髪だったな」
「神剃ってないんだな」
「それ昔の話だからな」
藤原は自分の横にいる荒木に答えた、目は本尊を見たままだ。
「今は宗派によってはな」
「剃らないか」
「ああ、男の人でもな」
「剃らないんだな」
「そうだよ」
宗派によってというのだ。
「そうなんだよ」
「成程な」
「それでな」
「だから多分住職さんもな」
これから会う彼女もというのだ。
「髪の毛あるぞ」
「そうなんだな」
「じゃあこれからな」
「その人ともだな」
「会うぞ」
こう話してだった。
二人は住職を待った、やがて。
僧衣に袈裟を着た黒い髪の毛を短くした穏やかな顔立ちの六十位の女性が来た、小柄で目はきらきらとしていて口元は微笑んでいた。
女性は二人の前に来ると微笑んで名乗った。
「清明といいます」
「住職さんですか」
「はい」
笑顔で答えた。
「拙僧がそうです」
「そうですか」
「それでこの度は」
「はい、住職さんとお話がしたくて」
荒木は住職に自分がここに来た目的を正直に話した。
「それで、です」
「来られましたか」
「はい」
そうだというのだ。
「左様です」
「そうでしたか」
「はい、仏教のことや人のことを」
「お話させてもらって宜しいですか」
「お願いします」
「それでは」
若い尼僧、奇麗な短い髪の毛の彼女がだった。
住職と荒木それに藤原にだった。
お茶とお菓子を出した、二人はその両方を楽しみながらだった。
住職の話を聞いた、すると。
その話は非常に素晴らしいものでだ、二人は唸るしかなかった。それでだ。
住職の話が終わってだった、寺を後にする時。
二人は寺の門までの石の道、境内のそこを歩きつつ話した。
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