第二章
[8]前話
彼はその間静かに考えた、私も付き合って飲んでいった。そうして二人共程よく酔ったところでだった。
彼は私と一緒にバーを出た時に言ってきた。
「わかったよ」
「そうなの」
「うん、だから部屋に戻ろう」
二人で同棲している家にというのだ、私達は結婚していないけれど一緒に住んでいる。それで朝も一緒に出ている。
「そうしよう」
「それじゃあね」
「うん、戻ろう」
こう話してだった。
私達はお部屋に戻った、そして玄関の鍵を開けてお部屋に中に入ろうとした時に。
「待って」
「どうしたの?」
私が彼の方を振り向くとだった。
彼は私にキスをしてきた、鍵を開けたところで私に向いてきて抱き締めて。
キスをした、それは一瞬だったけれど。
彼は私にキスを終えてから微笑んで言ってきた。
「デートにはね」
「キスは付きもの?」
「そうだったよ、忘れていたよ」
「そうね」
私も微笑んで頷いた。
「言われてみればね」
「何が足りない、充分じゃないって思ったら」
「これね」
「そうだね、じゃあね」
「ええ、これで充分ね」
「そうだね、じゃあこれでね」
「最高のデートになったわね」
私は微笑んだまま彼に応えた。
「そうなったわね」
「そうだね、それじゃあ」
「帰ろうか」
「そうしましょう」
二人で開いたドアの前で話してだった、一緒にドアの中に入って。
デートの後の日常に戻った、日常に戻ったけれど最高のデートを過ごせて私は満足した。これ以上はないまでに充分な満足したデートだったから。
まだ充分じゃない 完
2021・5・30
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