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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第三百三十四話 初詣その十

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「そこからね」
「脱出するのね」
「そうだよ」
「両手両足を縛られていても」
「鎖でね」
 頑丈なそれでだ。
「ロープじゃなくて」
「それで重しまで付けて」
「普通はね」
 もうそれこそだ。
「これでだよ」
「助からないわね」
「脱出するなんてね」
「不可能よね」
「けれどね」
「それを脱出するのがね」
「イリュージョンだよ」 
 まさにそれだ。
「これもこの人の得意技だから」
「さっきのと同じで」
「そう、だからね」
「これからね」
「このショーも観ようね」
「そうさせてもらうわ」
 香織さんは喉をごくりと鳴らした、果たして脱出が成功するのかと期待しつつ心配なのがわかる。そして。
 水槽にその姿で入れられた。
「果たして」
「ここから脱出出来るか」 
 香織さんに応えた。
「果たしてね」
「どうなるかよね」
「それがハラハラするよね」
「ええ、けれどよね」
「あの人もプロだから」
 それ故にだ。
「絶対にね」
「脱出してくれるわね」
「そうしてくれるよ」
 僕は香織さんに話した。
「そして元気にね」
「水槽からよね」
「出てくれるよ」
「期待しているわ」
 香織さんは緊張した面持ちで応えた、そしてだった。
 僕達はショーを見守った、水槽に入れられたが。
 何と両手両足の鎖を何なくほどいた、まずは両手で。
 次は両足だ、そこから。
 重しも解いてだ、水槽から華麗に飛び出て。
 忍者の様に着してポーズを決めて満面の笑顔を見せてくれた、ここでまた皆拍手喝采だったがここでだった。
 香織さんは僕にこう話した。
「あのね」
「何かな」
「忍者みたいね」
「イリュージョンといっても」
「そうも思ったけれど」
「実はあの人くノ一説あるんだ」
 僕は香織さんにこのことも話した。
「あくまで噂だけれど」
「こうしたことが出来るから」
「身軽だしね」
 このこともあってだ。
「だからね」
「忍者かもって言われてるのね」
「忍法もね」 
 これもだ。
「使えるかも知れないよ」
「そうよね」
「事実イリュージョンがね」
 まさにこれがだ。
「忍法かも知れないね」
「その域よね」
「まあ昔の忍者漫画とは違うけれど」
 昭和三十年代までのそれとはだ。
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