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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第二章 〜罪と罰〜
その十五
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「土見くん、まさか……同性愛趣味とかじゃないわよね?」

 妙な火種を撒く麻弓。

「そうなの稟くん!?」

「そうなんですか稟様!?」

「そうなんですか稟君!?」

 一気に稟に詰め寄る三大プリンセス。その表情は必死だ。

「いや違うからな!? 俺は女の子が好きな至ってノーマルな男だから!」

「「「ほっ」」」

 どことなく赤い顔をしながら静まる三大プリンセス。

「で、本当に何も無かったわけ?」

「くどいぞ麻弓」

「やれやれ、楓も大変ねえ」

「そんなこと、ありませんよ」

「ほほう。本妻の余裕、というやつですな」

 懲りずに再度火種を撒く。

「そういうわけじゃありませんけど……」

「けど?」

「私は、稟君を愛していますから」

 そう言って笑う楓。その笑顔は、稟ですらそう見たことがない程に、美しかった。

「つ・ち・み・くーん? 楓にあーんな幸せそうな顔させておいて、何もなかった、なんて言うつもり?」

「稟、殴っていいかい? 上空を飛行中の旅客機を撃墜せんばかりの勢いで!」

「断固拒否する!」

 というかお前はいつの間にエビフライ状態から脱したのか。

「ん……?」

 教室の外が何やら騒がしい。『土見稟!』とか『許すまじ!』とか聞こえてくる。おそらく、というか間違い無く、KKKの皆さんだろう。救いの手を求めて幼馴染の姿を探す。いた。

「まあ、がんばれ」

 ……救いの手は、来なかった。

「ああもう!」

 半ば自棄(やけ)になりながら教室を飛び出す。それに気付いたのだろう。『逃げたぞ!』『追えー!』と言った叫びが聞こえた。

「いいの?」

 麻弓の問い掛けに答える。

「“獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす”ってな」

 我が子じゃないけどな、と言って笑う柳哉。と、そこへ、

「柳君」

「ん?」

「ありがとうございました」

「……もう、大丈夫みたいだな」

「はい、ご心配をお掛けしました」

 苦笑しつつ提案する。

「なあ、楓」

「はい?」

「頭、撫でてもいいか?」

「え、と。あの?」

「ああ、別に嫌ならいいんだ」

 髪は女の命って言うしな。と笑う柳哉。しかし、

「あの、良ければお願いします」

「ふむ、それじゃ遠慮なく」

 柳哉は楓の頭に手を載せ、ゆっくりと撫でる。心地良いのか、楓は目を細めている。そんな二人は、

「私に兄がいたら、こんな感じなんでしょうか?」

「……誕生日で言えば、俺の方が年下なんだが……」

「ふふ、冗談です」

 まるで、仲の良い兄妹のようだった。


      
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