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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第二章 〜罪と罰〜
その十五
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「でも……」

「?」

「こんな私ですけど……稟君を……好きでいても、いいですか?」

 当たり前だ、と言おうとしたところを楓に制される。

「稟君に……好きになってもらう資格は、ありますか?」

 稟の目が見開かれる。なぜなら……

「私には……幸せになる資格は、ありますか?」

 楓が、自ら作った境界線を……

「私は……稟君に許されても、いいですか?」

 自ら越えてきたのだから。

「……」

「……」

 沈黙する二人。やがて稟がふう、と小さくため息をつき、口を開いた。

「……言わなくても分かってると思ってた俺が馬鹿だったってことかな」

 言葉にしなくても伝わる事、というものは確かにある。しかし、言葉にしなければ伝わらない事の方が遥かに多いものだ。

「……だから、ちゃんと言おう。一生、忘れてくれるなよ?」

 楓の気持ちを受け止め、自分の気持ちを送り返す。

「楓のやってきたこと。俺は初めから全部許してる」

「稟……君」

「楓、さっきの返事、まだもらってないぞ」

『もう一回、約束しよう。あの時と同じ約束を』

「あ……」

「な?」

「……はい。……はいっ!」

 あの時と同じ場所で、あの時と同じことをしながら、あの時と同じ言葉を、……あの時と同じ、約束を。

「ずっと……一緒にいてくれないか……?」

「ずっと……一緒にいてください……!」


          *     *     *     *     *     *


 翌日、月曜日。

「おはようなのですよ!、お二人さん」

 教室に入った稟と楓を待っていたのは、朝からやけにテンションの高い麻弓だった。

「おはようございます。あの、麻弓ちゃん? どうしたんですか?」

「おはよう。というか、嫌な予感しかしないんだが……」

「ふっふーん。金曜日の放課後あんな事件が起き、翌日、翌々日と二連休、さらに家には当事者達が二人きり、と来れば、ナニか起きたと考えるのが常識ってものでしょう?」

 途端、周囲から殺気が放たれる。標的はもちろん稟だ。ちなみに樹は既にエビフライ状態で麻弓の背後に転がっている。おそらく、邪魔だったからなのだろう。“いつもの”が無かったのはそういう理由か。

「言っとくが、お前の考えてるような事は一切無いからな」

「と、土見稟氏は申しておりますが、どうなのでしょうか? 芙蓉楓さん」

「いえ、ありませんよ」

 至って普通に答える楓。

「えー? 楓が顔を赤くしながら赤い染みのついたシーツを干してた、とかいうのはないの?」

「ま、麻弓ちゃん!」

「いや、無いから!」


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