第三百三十四話 初詣その八
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「すぐに空いたね」
「お腹が」
「そうだね、じゃあね」
「これからね」
「もっと食べられるよ」
甘いものをだ、別腹でもその別腹も結構きていてもだ。
「この位だと」
「そうよね」
「それがお蕎麦なんだよね」
「案外お腹にたまらなくて」
「それですぐに消化されるね」
「そうよね」
「だからね」
もうだ。
「結構食べられるよ」
「そうね、じゃあ甘いものもね」
「食べようね」
「そうしましょう」
香織さんも頷いてくれた、そしてだった。
僕達はクレープや林檎飴も食べた、たい焼きはカスタードクリームだった。そこにチョコバナナも食べて。
満腹になってだ、ここでだった。
見世物小屋に入った、その中は。
三十人位入られる場所で前に舞台があった、その舞台を見て香織さんは僕に言ってきた。
「何か不思議ね」
「不思議っていうと」
「こうした場所に入ったことないから」
「それでなんだ」
「サーカスに近い様で」
それでいてというのだ。
「また違う」
「そうした場所だからなんだ」
「不思議な感じがするわ」
「はじめて入ったからだね」
「こうした場所にね、けれどここで今から」
「ショーがはじまるよ」
その人のマジックがだ。
「今から」
「どういったものかしら」
「それが今からわかるよ」
こう言ったところでだった。
その人が出て来た、小柄で整ったお顔立ちはまるでお人形だった。着ている衣装はバニーガールの様な露出の多い服装に燕尾という女性マジシャン独特のものだった。
その人が出て来られると拍手が起こって。
まずは軽い手品からだった。
シルクハットから鳩や兎が出て来る、香織さんはそのマジックを見て僕に言ってきた。
「これはもうね」
「マジックとしてはね」
「基本よね」
「この人にとっては」
それこそだ。
「準備体操だよ」
「そうしたものね」
「これで身体を馴らして」
そうしてだ。
「それでね」
「これからよね」
「いよいよだよ」
「イリュージョンね」
「それがはじまるよ」
「それじゃあ」
「今の軽いマジックが終わったら」
この人にとってのそれがだ。
「それでね」
「いよいよよね」
「そう、イリュージョンがはじまるよ」
ここでそのマジックが終わってだった。
イリュージョンの用意がはじまった、箱の中に入って。
そこに本物の剣が次々と刺さっていく、しかし。
箱から出て来ても無事で見事なスタイルを披露してくれた。小柄だけれど網タイツに覆われた脚も黒のワンピースのレオタードの様な衣装もだ。
傷一つない、ここで皆拍手だけでなく喝采も送ったけれど。
香織さんは舞台を観てこう言った。
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