暁 〜小説投稿サイト〜
SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第二章 〜罪と罰〜
その十四
[1/3]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
「ごめんなさい、稟君。すぐにお夕飯の準備しますね」
「ああ、別に急がなくてもいいぞ」
「はい、桜ちゃんはどうしますか?」
「うーん」
そんな会話を交わしつつ、芙蓉家に到着。玄関を開けると何やらいい匂いがしている。一同首を傾げつつキッチンへ向かうと、そこには柳哉がいた。
「おう、お帰り」
「柳?」
「柳ちゃん?」
「柳君? その、もしかして……」
「ああ、そのもしかしてだ」
鍋にはクリームシチューが湯気を上げている。いい匂いの正体はこれのようだ。
「今夜はクリームシチューにするって言ってたろう? まあ、あくまでも水守家流の味付けではあるけどな」
確かに買い物をしている時にそんな話をした。もしかしたらあの時から既にこの事態を予想していたのだろうか?
「腹減ってるだろう?」
そう言いながら楓がいつもしているエプロンを外し、本人に返す。というか結構似合っていたので誰もツッコミを入れていなかった。
「んじゃ、俺はお
暇
(
いとま
)
するわ」
「え、あの、食べていかないんですか?」
「そこまで野暮じゃない」
「うん、そうだね」
桜も空気を読み、帰宅することにしたようだ。
「それじゃ、おやすみ」
「はい、あの、柳君」
「ん?」
「ありがとうございました」
頭を下げる楓に苦笑する柳哉。
「まあ、迷惑料ってことで」
「いえ、
夕飯
(
そのこと
)
ではなくて」
「? それ以外で何か感謝されるような事があったか?」
悪戯っぽく笑って言う。まあ確かに、文句を言われこそすれ、感謝されるような事はしていない。
柳哉の意図を感じ取ったのか、楓も笑う。
「私が、勝手に感謝しているだけですから」
肩を
竦
(
すく
)
める柳哉。と、稟の肩を掴み引き寄せる。
「後はお前次第だ」
それだけを言って、柳哉は桜と共に芙蓉家を出た。
* * * * * *
帰り道。
「楓ちゃん、大丈夫そうだったね」
「まだそうと決まったわけじゃないけどな」
後は稟次第だ。とはいえ、あの様子なら余程の事が無い限り心配はいらないだろう。
「でも、桜は良かったのか?」
「え?」
「稟の事」
八年前の時点でも楓と同様、稟に好意を寄せていた桜だ。これをきっかけに稟と楓が付き合い始めたらどう思うのだろうか。
「大丈夫だよ」
柳哉のそんな内心を察したのか、桜は微笑んで言った。
「私はね、柳ちゃんと同じ。稟君だけじゃなく楓ちゃんにも幸せになって欲しいんだから」
それにね、と続ける。
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ