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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第二章 〜罪と罰〜
その十四
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「神界でなら、楓ちゃんと一緒に稟君の奥さんになれるかな、とか考えちゃって……」

 若干顔を赤くしながら言う桜に、大爆笑する柳哉。

「……そんなに笑うことないじゃない」

「いや、悪い悪い。しかしまあ、随分と逞しくなったもんだ。褒めてるんだぞ?」

「褒められてる気がしないよ」

 若干むくれる桜。柳哉はそんな桜を先程の大爆笑の際に出た涙を拭いながら微笑ましげに見ている。

「ま、その当たりは楓と要相談、だな」

 あと、シアとネリネも。

「稟君と、じゃないんだね」

「あいつに拒否権なんてものは無いだろう? 特にこの件に関しては」

 酷い言い様である。が、妙に説得力がある。まあ、二世界の王からして|あれ(・・)なのだから。

「それじゃ桜、お休み」

「うん。お休み、柳ちゃん」

 八重家の前で二人は別れた。


          *     *     *     *     *     *


 夕食後、稟はある提案をした。

「花火……ですか?」

「今年は見るだけで、家では一度もやってないし。……どうかな、二人で」

 時期的には若干遅いものの、暦の上ではまだ夏だから。そう言って稟が楓に見せたのは昼間の内に購入しておいた花火セットだ。打ち上げ花火なども欲しかったが、川辺などならまだしも、ここは住宅地だ。さすがに近所迷惑になるだろう。もっとも、両隣なら文句を言わないどころか嬉々として参加しかねない。それはそれでいいのだが、今回だけは遠慮したい。
 
「……そうですね。夏ももうあと少しですし、最後にいいかもしれません。」

 特に今年の夏は色々ありましたから。そう言って楓は花火を手に取り、楽しそうに微笑む。

「まあ、確かに色々あったよな」

 シアとネリネのバーベナ学園への転入と両隣への引越し、さらに婚約者候補宣言、プリムラの来訪と芙蓉家での同居生活、デイジーやツボミとの出会い、皆と行った海、水守家の光陽町への帰還、そして今回の騒動。本当に色々あった。楓も同じ心境なのだろう。

「それじゃ、先に片付けちゃいますね」

「ああ、俺は準備しとくよ」

「はい」

 どうやらうまくいったようだ。花火に誘うには勇気が必要だった。楓が頷いてくれなかったらどうしようかと、内心冷や冷やしていた。

(楓は覚えててくれてるんだろうか? 俺達の約束、その始まりを)

 キッチンで洗い物をしている楓の後ろ姿を見つつ、稟は花火の準備を始めた。


          *     *     *     *     *     *


「綺麗……ですね」

 呟く楓。その表情はうっとりとしており、花火の放つ光に照らされているせいか、どこ
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