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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第二章 〜罪と罰〜
その十三
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きしめる。
「桜ちゃん?」
「楓ちゃん。私はね、幸せになる資格は誰もが持ってるものだと思うよ。それに……」
昨日、柳哉が言っていた事を思い出す。
『俺は楓の幸せを願っていますよ。二人と同様に。それに……』
「柳ちゃんも言ってたよ。『幸せにならなきゃ、生まれてきた甲斐が無い』ってね」
「……そうですか、柳君が……」
やはり自分の予測は正しかった。柳哉は楓を決して許さないことで楓を罰したのだ。罪には罰を。それが世の常識だ。楓のかつての行いは“罪では無い”とされた。その内容は明らかに犯罪だが、当時は(というか今も)楓は未成年。さらに被害者である稟が加害者である楓をかばい、隠蔽までしていたため、犯罪として立件されることは無かった。
本来、芙蓉楓は心優しき少女だ。土見稟との出会いにより、さらに他人の痛みにも気を配れるようになってもいる。その楓が、稟がついた嘘のせいとはいえ、明らかに罪と分かる行為に手を染めていた。そしてその嘘が暴かれた後も、稟は決して楓を責める事はしなかった。罪を犯したのに罰が与えられない。その事実を幸運だと受け止められればよかったのだろうが、そもそも楓はそんな事ができる子ではない。
柳哉にもそれは分かっていた。だからこそ楓を罰する、という行為に出た。とはいえ、いくら罰されたとはいえ、それで楓の稟に対する罪悪感、罪の意識が消える事は無いだろう。だが、ほんの少しだけだが、楽にはなるだろう。余裕もできるだろう。以前のままの楓だったら、遠からず潰れてしまっていただろうから。
「……本当に、柳君は……酷い人です……」
「え……?」
「だって……私は、楽になってはいけないのに……」
楽になってしまった。自分も幸せになっていいんだ、と思ってしまった。そんな事、許されないと思っていたのに。
「楓! それに桜?」
「あ……」
「稟君……」
「……えっと、もしかして……お邪魔だったか?」
「「え?」」
思い出して欲しい。今の楓と桜はどんな状態なのか。答えを言ってしまえば、しっかりと抱き合っている状態である。しかも楓の顔には涙の跡も見える。いわゆる“百合の香り”が漂っている状態にも見える。
「「〜〜っ!」」
赤面しつつ離れる二人。シリアスな空気台無しである。
「で、大丈夫なのか?」
「は、はい。心配をお掛けしました、稟君」
「そっか。桜もありがとな」
「う、ううん」
そこで楓が口を開く。
「あの、稟君」
「? 何だ?」
「柳君を、責めないでくださいね?」
「……」
「……」
無言の稟。桜も口を閉ざしている。
「……分かったよ」
やがて根負けしたのか、稟が降参し
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