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Fate/WizarDragonknight
ラプラス
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世《かくりよ》なんじゃ……?」

 刀使の力を引き出す根源である、現実世界___現世(うつしよ)の裏側であるそこは、御刀を経由して刀使の力を引き出している。
 そして。

「……」

 ここが、そんな世界の裏側だと理解した瞬間、可奈美は無意識に他の人影を探していた。
 だが、そこには暗い虚空のみが広がり、神社のほかには何もない。

「……いるわけないか……」
「可奈美?」

 がっくりと肩を落とす可奈美。

「ううん。何でもないよ」
「……」

 一方、最初にここの社を潜ることを選んだコヒメ。彼女はただ静かに、神社の一か所を見つめていた。

「コヒメ? どうしたの?」

 美炎がコヒメの傍で膝を曲げた。
 すると、コヒメが静かに告げる。

「感じる……何かを……」
「何か?」

 だが、それが何か、コヒメは語らない。
 ただ、何かに取りつかれたかのように、神社の社……と、ご神木の間にある石へ向かう。
 切り株のように、頂上部が平面になっている大きな石。高さは、コヒメの胸くらいだろうか。その周りには、太めの注連縄(しめなわ)が巻かれていた。力士が相撲でもできそうな大きさのそれを、コヒメは静かに見下ろしていた。
 静かに、コヒメはそれに手を触れた。
 可奈美もそれに倣って、大きな石に触れてみる。大理石のような冷たい手触りが、腕を通して伝わってくる。

「これは……何?」

その時。
 可奈美は、背後から猛烈な気配を感じた。
 振り向くと同時にギターケースから千鳥を抜刀、即座に振り下ろす。
 すると、厳粛な神社に、千鳥が甲高い鳴き声を上げた。

「何!?」

 それに対し、思わず美炎はコヒメを抱き寄せ、清香もまた顔を伏せる。
 可奈美が斬り弾いたのは、剣。
 灰色の、大きな圓月を描く剣だった。周囲の闇よりも尚深い闇色のそれは、深々と地面に突き刺さり、黒い影を地面に投影している。

「あれは……?」

 これまで様々な刀剣類を頭に収めてきたが、あんな形のものは見たことがない。
 巨大なサーベルのような剣だが、各所に大きな窪みがあり、その外周の長さを上げている。より殺傷力を上げる作りになっており、見るだけで殺意が伝わってくる。
 目を凝らして見ようとするよりも早く、その姿は粒子となって消えていった。

「何なの……今の?」

 美炎はぎゅっとコヒメを抱く力を強める。
 一方、可奈美は、剣が飛んできた軌道を目で予測する。
 あの剣は間違いなく、コヒメの心臓部を狙っていた。
 その殺意を理解し、可奈美は千鳥を握る力を強めた。

「邪魔が入ったか……」

 その声に、可奈美の背筋が凍る。
 それは数少ない、可奈美を剣で破った者の声。
 可奈美が
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