第三章
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頭には巨大な口だけがあり目も鼻もなく身体は細長い蛇の様な何かが転がってきた、利治はそれを見て言った。
「あれって妖怪だね」
「ですね、俺達の学校妖怪とか幽霊の話多いですけど」
清重は自分達の学校の話をした、八条学園は兎角そうした話が多いのだ。
「あれはどう見ても」
「妖怪だね」
「大阪にも妖怪いるんですね」
「そりゃいるだろうね、人がいるんだし」
「人のいるところ妖怪ありですね」
「そういうことだね」
「ですね、あの妖怪何なのか」
清重は具体的にその妖怪が何か考えた。
「一体」
「野槌ね」
ここで清美が答えた。
「あれは」
「姉ちゃん知ってるんだ」
「ええ、本で読んだことあるの」
「そうなんだな」
「大丈夫よ、ここに来ても」
一瞬でだった、清美は。
それまで袋に収めていた薙刀を出した、担いでいた防具はその場に下ろした。
その薙刀を構えてだ、こう言った。
「安心して」
「えっ、安心って」
「どういうことだよ姉ちゃん」
「二人は私が守るから」
交際相手と弟に言うのだった。
「だからね」
「いや、そうはいかないから」
「俺だって男だしさ」
二人は清美に慌てて言った、そして。
彼女の前に立ってだ、身構えて言った。
「姉ちゃんは俺達が守るから」
「安心して」
こう言って清美を守ろうとする、野槌が来てもそうするつもりだった。野槌はその二人を目はない様に見えるがそれでも見てか。
三人を避けてそのまま転がっていった、そのまま坂の終わりまで来ると横道に行って消えてしまったが。
そこまで見てだ、清美は二人に言った。
「有り難う、守ってくれて」
「だから男だからね、僕達も」
「姉ちゃんを守るよ」
「例え妖怪でもね」
「そうするからさ」
「そうなのね、二人共強いわね」
清美は微笑んで彼等に応えた。
「私より」
「いや、流石にそうじゃないと思うけれど」
「姉ちゃんよりはさ」
「僕格闘技はしていないから」
「俺だってさ」
「そうかしら。でも妖怪は行ったから」
それでとだ、清美はあらためて話した。
「もう問題はないわね」
「うん、けれど何でここにその野槌なんて妖怪が出たのかな」
利治は妖怪が去り三人のやり取りが終わったところでこのことを考えた。
「人のあるところ妖怪もありにしても」
「ここが口縄坂だからかしら」
清美が彼の疑問に答えた。
「それは」
「口縄坂だから?」
「野槌は蛇の妖怪よ」
「そういえば似てるな」
清重は姉の言葉に頷いた。
「あの妖怪蛇に」
「そうだね」
利治は清重の言葉に頷いた。
「言われてみると」
「そうですよね」
「そして口縄は蛇のことよ」
清美はさらに話した。
「口、それがある頭
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