第二章
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「俺いつも一方的にです」
「やられてるんだ」
「薙刀最強ですし」
それにというの。
「姉ちゃんもで」
「それでなんだ」
「こう言うんですよ」
「清美ちゃんは強いって」
「はい、妖怪にも勝てますよ」
こう言うのだった、三人はそんな話をしながら仲良く学生時代を過ごしていた。そしてその中でだった。
三人は今清美の薙刀の試合の後で大阪市天王寺区の口縄坂を歩いていた、試合会場がそこの近くであり清重と利治は応援に来ていたのだ。
その試合の後でだ、清重は三人で歩きながら利治に話していた。彼が右利治が左で真ん中に清美がいる。
「ねっ、姉ちゃん強かったでしょ」
「優勝したね」
「だから俺なんかじゃです」
「勝てないんだね」
「まして俺素手はてんで駄目ですから」
清重はこのことも話した。
「ですから」
「それでだね」
「若し喧嘩になったら」
それはしたことはないがというのだ。
「もうですよ」
「一方的になんだ」
「そうなるに決まってます」
夕暮れ時の坂道を一緒に上がりながら進んでいた。
「本当に」
「確かに強かったね」
利治も頷いた。
「決勝でも最初から最後まで優勢だったし」
「ですから」
「うん、浮気とか悪いことはだね」
「しないで下さいよ」
「そうするよ、ここを小説に書いた織田作之助さんみたいにね」
彼の記念碑の方を見て話し0た。
「浮気はね」
「しないですね」
「愛妻家だったっていうからね」
最初の妻とはそうであった、二度目の結婚は失敗だったというが。
「あの人みたいにね」
「それがいいですよ、やっぱり人間真面目に生きないと」
「それが一番だね」
「外見はチャラくても」
清重は笑って自分のそれの話もした。
「中身はです」
「真面目にだね」
「それが一番ですよ」
こうした話をしながら坂を上がっていった、だが。
坂の一番上からだった、何と。
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