第三章
[8]前話
「車を停めて袋に入れてね」
「捨てたんですか」
「それは酷いですね」
「最初ゴミを捨てたと思ったよ」
夫も顔を顰めさせて語った。
「サイクリング中に見つけたけれど」
「その時にですか」
「うん、そしてね」
パブロはさらに話した。
「それでも充分以上に酷いけれど」
「ゴミはゴミ箱に」
「そうしないと駄目ですよね」
「アメリカでも守らない人多いですが」
「常識ですね」
「うん、それでマナーが悪いなと思ってゴミを捨てようと思ったら」
それがというのだ。
「動くから驚いて中を開けたら」
「この子がいたのよ」
「全く酷いことをする」
「命を何と思っているのかしら」
夫婦で怒りの声を出した。
「本当にね」
「車のナンバーは確認したからすぐに通報したけれど」
「この子は僕達が引き取ってね」
「育てているのよ」
「全く、何処でも酷い奴がいるものです」
クレメンスはその話を聞いて暗い顔で言った。
「本当に」
「そうね」
チェルシーも頷いた、暗い顔で。
「クレメンタインに何かをした人も」
「人間そうはなりたくないな」
「本当にそうね」
「そう思うよ、ロレンツォも」
パブロもその通りだと答えた。
「酷い目に遭った、けれどそんな連中を見て」
「ええ、我々はですね」
「そうした子達を助けることですね」
「そうすべきだと思うよ」
「全くですね」
「心から思います」
クレメンスだけでなくチェルシーもパブロの言葉に頷いた、そうしてだった。
二人はパブロとミカエラにクレメンタインと自分達のことを話した、すると初老の夫婦は笑顔になって話した。
「じゃあその子をね」
「これからも大事にしてあげてね」
「そうしていきます」
「これからもずっと」
二人も笑顔になった、そうしてロレンツォの頭を撫でた。すると子犬は嬉しそうに尻尾を振って応えた。
二人はこの夫婦との会話と食事を楽しんでからもパラグアイを旅した、そしてアメリカに帰ると真っ先に犬達のところに行った。そこにはクレメンタインもいたが彼女は二人を見て二匹と共に尻尾を振って駆け寄ってきた。
絶望から解放された犬達 完
2021・9・28
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