第一章
[2]次話
絶望から解放された犬達
アメリカワシントン州シアトル在住のチェルシー=エリザベス=コーサートは茶色の長い髪の知的で整った外見の女性である。黒い瞳にも知性がある。
その彼女がある日夫に茶色の痩せた身体で薄く大きな垂れ気味の耳の大型の犬の画像を見せて話した。
「この子だけれど」
「随分悲しそうだね」
夫のクレメンスはその犬の画像を観て言った、黒い目と青い髪で屈託のない顔立ちで大柄で太った外見である。
「この子は」
「南カルフォルニアで保護されたそうだけれど」
「そっちでなんだ」
「身体のあちこちに病気を抱えていてね」
そうしてというのだ。
「あと二日で安楽死だそうよ」
「あと二日で」
「それでだけれど」
「うちでだね」
「どうかしら」
「命を救えるなら可能な限り救え」
夫は妻にこう答えた。
「そうだね」
「それじゃあ」
「もう二匹いるしね」
「もう一匹来てもいいのね」
「サンタとワイラーもそう思うだろう?」
「ワン」
「ワンワン」
茶色の犬と黒い犬が応えた。見ればどちらも大型犬で雄である、二匹はクレメンスの言葉に賛成という様に鳴いて応えた。
夫は彼等の声を聞いてから妻にあらためて話した。
「彼等はいいと言ってるよ」
「そう、それじゃあね」
「すぐに連絡しよう」
こう話してだった。
チェルシーはその犬がいる施設に連絡して犬を引き取った、こうしてこの犬、三歳の雌でクレメンタインと名付けられた彼女はコーサート家に迎えられたが。
「クゥン・・・・・・」
「ずっと壁を向いているか」
「隠れてるわね」
夫婦で彼女を見て話した。
「いつも怯えてる」
「そんな風だね」
「身体が悪いだけでなくね」
「虐待とか受けていたんだな」
「それでね」
その為にというのだ。
「人を怯えているのね」
「そうだね」
「身体が悪いことは知っていたし」
「治療も受けさせるけれど」
「それでもね」
「まさかトラウマも持ってるなんて」
「思わなかったわ」
妻は夫に話した。
「これはね」
「僕もだよ、しかしそれでもね」
「ええ、家族に迎えたから」
「ゆっくりと確かに」
「接していってね」
「育てていこう」
「そうしていきましょう」
夫婦で話した、そして見てみると。
サンタとワイラーはだった。
「ワン」
「ワンワン」
「クゥ〜〜ン」
クレメンタインにいつも優しく接した、二匹共彼女より年上で。
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