五十二 潜入
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処で何してる!?」
だが、ここぞとばかりに邪魔が入る。
腕を振り上げた状態のまま、水月はうんざりと振り返った。
【根】に所属している暗部の男達が数人、水月を訝しげに見遣る。
当初は見た目十歳ほどの子どもに気を緩ませていた彼らだが、片腕だけやけに筋肉隆々という異様な姿を前にして警戒態勢に入った。
「あーらら」
「ガキ…何処から入った!?」
肩を竦める水月目掛け、殺気を放つ。
数人の暗部に囲まれて、水月は降参のポーズっぽく両腕を頭に回し…。
頭の後ろで指先を水槽に向けた。
その指先から水がピッ、と水鉄砲のように放出される。
レーザーの如き水が水槽の一点を貫通したかと思うと、ピシ…と軋む音が響いた。
やがて、水槽の割れ目が蜘蛛の巣のように一気に広がってゆく。
ハッ、と青褪めた【根】の暗部の横で、水月はニヤリと嗤った。
瞬間、水槽が割れる。
瓦解した水槽から溢れる大量の水に暗部達が気を取られる中、水月は自身の片割れを探した。
水化の術で水と同化している兄をこの場から連れ出すのが、水月の目的だ。
しかし永い間、囚われの身となっていた水と同化していた故、相当体力を消耗しているのか、なかなか人の姿に戻らない満月に、水月の顔に焦りの色が徐々に溢れる。
「貴様…!」
「何が目的か答えろ!」
一方、ダンゾウが秘密裡に隠していた水槽の中身を知らない暗部達は、水月の行動が理解出来ず、顔を顰める。
とにかくも無断で忍び込んだ不届き者を捕らえようとした彼らは、自分達の背後に忍び寄る存在に気づけなかった。
「なにをチンタラやってやがる。ソイツ連れてとっととずらかるぞ」
ハッ、と【根】の暗部が振り返る間もなく、気絶させられる。
一瞬で数人の暗部達が倒れ伏せたのを見て、水月は苦虫を?み潰したような表情を浮かべた。
「…べつに、ボクだけでも出来たっつーの」
「無駄口を叩くな。時間がねぇんだ」
床一面に広がる水槽の水。其処を踏み越え、面倒くさそうに水月を急かす。
投げて寄越された水筒に、液化した満月を注ぎ入れながら、水月は唇を尖らせた。
密閉された容器に閉じ込められると身動きが取れなくなるという弱点の【水化の術】だが、逆を言えば、水筒などの容器に入れば持ち運べる。
自身が木ノ葉隠れの里に潜入した際と同じ水筒に今度は兄を詰めた水月は、助けに割って入ってきた人物を悔しげに睨んだ。
「得物無し?そんな心許ない状態でよく来たね、再不斬先輩」
「首切り包丁は本体が持っている」
現在、角都と交戦中のはずの桃地再不斬は、水月の言葉に素っ気なく答える。
その言葉で目の前にいる再不斬は彼の水分
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