五十二 潜入
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倒してから、シカマルのもとへ向かうってばよ」
ニッ、と笑うナルの太陽のような笑顔を目の当たりにして、いのは言葉を呑み込んだ。
ナルのこういうところにシカマルは惹かれたのだろう、と面倒くさがりながらも彼女に何かと世話を焼く幼馴染を思い浮かべ、思わず口許を緩める。
話は纏まった、と察したカカシが忍犬を口寄せする。
シカマルの匂いを辿って彼の援護へ向かったチョウジといのを視界の端で見送ったナルは、そこでようやく、先ほどからずっと気にしていた相手を見つめた。
「……よぉ。元気にしてたか、小娘」
波の国で死んだとばかりに思っていた霧隠れの鬼人──桃地再不斬。
カカシ達のもとへ増援に向かう前に、前以て綱手から再不斬のことを聞いていたとは言え、実際に自身の眼で見たナルは内心、心が震えた。
その震えはかつての波の国での鬼人への恐怖からではなく────。
「…色々聞きたいことは山積みだけど、これだけ教えてくれってばよ」
初めて出会った時よりずっと大きく成長しているナルを再不斬は無言で見遣る。
言葉の先を視線で促され、ナルは問いかけを続けた。
「白は?」
「…そういやお前は、白のお気に入りだったな…」
波の国で敵対していたにもかかわらず、ナルを無性に気にしていた白を思い出し、再不斬は懐かしげに眼を細めた。
最初は敬愛するナルトに似ているところから気になるのだろうと思っていたが、次第にナル自身の性格を好ましく思っているようだった。
きっと彼女に会ったと知れば羨ましがるのが目に見えて、くつり、と口角を上げた再不斬は、返答を待っているナルに気づくと、期待通りの答えをくれてやった。
「生きているさ。俺と同じく、な」
「…!そっか」
ナルの言葉が震える。
あの時の波の国では、幼いナルに散々恐怖を植え付けたはずだったが、言葉の端々に歓喜の色が垣間見えて、再不斬は内心苦笑を零した。
一歩間違えれば殺されかけていた恐怖よりも、自分達が生きていたことを歓喜して打ち震えるなんてどこまでも甘い奴だ。
(図体はデカくなっても、変わらないなコイツは…)
しかしながら口調とは裏腹に、このまま変わってほしくないというナルの真っすぐな性格を再不斬もまた、気に入っていた。
太陽のような存在であるナルを眩しげに見やった後、「お喋りは此処までだ」と角都へ視線を投げる。
「小娘。てめぇがどこまで強くなったのか、見せてみろ」
再不斬の挑発を受けて、ナルは一瞬目を見開いた。
波の国で初めて出会った子どもの頃のナルの幼い顔が重なって映る。
随分と逞しくなったその顔が不敵に笑った。
「ああ。
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