第七十三話 王子の帰還
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「新世界で採れた、まだハルケギニアに出回ってない金だ。僕の切り札だよ」
「……はあ」
ド・ローテルはため息をついて、黄金の山を眺めた。
「呆けるな艦長」
「はっ!? 申し訳ございません」
「特別任務だ。僕を本国まで送り返したら、再びヌーベルトリステインに戻って、何往復してもいいから、ここの金を残らずトリステインに輸送してくれ、詳細は追って伝える」
「了解いたしました。して、この金を全て売りさばくお積りでしょうか?」
「いや売らない。さっきも言ったが、この金は僕の切り札で爆弾だ」
「爆弾……でございますか?」
「そう爆弾だ。戦場で兵士達を殺す爆弾ではなく、経済を破壊する爆弾と言っていい」
「……経済を」
「これ程の量の金を一斉に売りさばけば、ハルケギニアの金相場は大暴落間違いない。そういう意味での切り札であり爆弾だ。チマチマ売って富を得ようとかそういう事には使わない」
ド・ローテルはゴクリと生唾を飲み込んだ。
これだけの大量の金が一斉にばら撒かれれば、どの様な経済的混乱がもたらされるか想像できなかった。
「畏まりました。黄金の輸送任務に携わります」
ド・ローテルは身なりを正し敬礼した。
「分かっていると思うが、この任務は最高レベルの超が二三個付くほどの機密だから、輸送の際の部下の選別と機密の漏洩には気を使うように、素敵な年金生活が送りたければ……ね」
「肝に銘じます」
「それでは戻ろう。ガーゴイルには顔を覚えて貰ったから、次からは僕無しでもで入れるはずだ」
「御意」
マクシミリアンら二人は、倉庫を出てアルゴルキン砦に戻った。
後に、これら金のインゴットは、ヴァールダム港の秘密倉庫に収められる事になり、マクシミリアンは切り札を手に入れた。
☆ ☆ ☆
夜も明ける黎明時、荷物を積み終え帰還準備が整ったベルギカ号は、煙突から黒煙を上げて出港準備に取り掛かっていた。
ベルギカ号に乗り込む為、タラップに昇ろうとすると、寝息を立てるティファニアを抱いたシャジャルがマクシミリアンの見送りにやって来た。
「流石にティファニアは寝てしまったか」
「殿下をお見送りしようと、頑張って起きていようとしていたのですが」
「その気持ちだけで嬉しいよ。シャジャルさん、ここに居ればティファニア共々、安全は保障します。どうか御健やかに……」
「ありがとうございます殿下」
シャジャルは小さく頭を下げた。
「そろそろ時間ですので失礼します」
「あ、殿下」
タラップを昇ろうとしたマクシミリアンをシ
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