第七十三話 王子の帰還
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と同じベルギカ号に同行して帰国する事になっている。
シャジャル、ティファニア母子は、ヌーベルトリステインに残ることになった。
多種多様な種族が共存するヌーベルトリステインが特殊なだけであって、ハルケギニアでエルフが生活するのは危険と判断された。
テキパキと帰還の支持を出しながらも、マクシミリアンの心は晴れなかった。
父親が死んで悲しいはずなのに、感情が凍りついたように固まり、悲しみの感情が沸いて来なかったからだ。
マクシミリアンはそんな自分に嫌悪感を抱いた。
(本当に、ガーゴイルに成っちまったのかオレは……?)
だが、そんな迷いも帰還の準備の忙しさで何時しか忘れていき、忙しさの余り何も考えなくて良いこの状況が心地よかった。
☆ ☆ ☆
夜になっても新トリスタニアはマクシミリアン達の帰国の準備に追われていた。
事が事の為、家臣達は徹夜を覚悟していた。そんな家臣を労う為、シャジャルの提案で炊き出しが行われ、準備に追われる家臣達に新トリスタニア名物のクラムチャウダーが振舞われた。
いつもは静かな深夜の新トリスタニアの埠頭は珍しく活気付いていた。
そんな埠頭から少し外れた寂れた倉庫街に、二つの影があった。
「悪かった艦長。忙しいなか、こんな場所まで呼び出して」
「いえ殿下、お気になさらずに」
マクシミリアンとド・ローテルが共も連れずに倉庫街に現れた。
「え〜っと、この倉庫だったな。艦長着いて来てくれ」
「御意」
マクシミリアンの先導で、二人はとあるレンガ造りの倉庫に入っていった。
中に入ると、巨大な鉄製の扉がもう一つ付いていて二体のガーゴイルが警備に立っていた。
『……ギギギ』
二体のガーゴイルは防衛体制をとろうとしたが、二人のうちの一人がマクシミリアンだと認めると鉄の扉を開け始めた。
二人は開かれた扉から中に入ると、内部は真っ暗で何も見えなかった。
「中は真っ暗でです」
「問題無い、魔法のランプがある」
マクシミリアンは、パチンと指を鳴らすと魔法のランプが一斉に光を照らした。
「うっ!?」
目も開けていられない程の強烈な光に、ド・ローテルは思わず声を上げた。
「この光は!?」
「……」
強い光に目が慣れたド・ローテルが薄っすらを目を開くと、黄金色のインゴットが天井までギッシリ積まれてあった。
それも一山だけではない。金のインゴットは倉庫一杯に山積みされていて、エキューに換算すれば天文学的な金額になりそうな程の量だった。
「これは……金!?」
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