第一章
[2]次話
マザーキャット
ロシアイルクーツク州リストヴァンカのシベリア動物園の前にだった。
段ボールが一個置かれていた、その段ボールを見て動物園のスタッフの一人イヴァンカ=マトリョーシカは首を傾げさせた。金髪を後ろで束ねていてアイスブルーの目で丸顔で胸の大きな小柄な女性である。
「何かしら、あれ」
「爆弾じゃないよね」
同僚の若い男性のスタッフが言ってきた。
「流石に」
「動物園でテロはないでしょ」
「やっぱりそうだね」
「だからそのことは安心して」
テロのことはというのだ。
「中を調べましょう」
「それじゃあね」
同僚も頷いてだった。
二人で段ボールに近付き中を見た、すると。
「ニャ〜〜〜」
「ニャア」
「ニャンニャン」
三匹の子猫がいた、一匹は茶色と白の雌で二匹はキジトラの雄だった。イヴァンカはその猫達を見て同僚に話した。
「捨てられたのね」
「あれかな、動物園の前だから」
「助けてもらえると思って」
「捨てたのね」
「全く、無責任なことだよ」
同僚は子猫達を段ボールごと抱えてから言った。
「自分達で飼い主探せばいいのに」
「そうよね、けれどね」
「見捨てておけないし」
「ここはね」
「うん、彼女に預けよう」
こう話してだった。
二人は動物園の園長に事情を話してから三匹を動物園にいるオオヤマネコのアレナに預けた、イヴァンカは三匹をアレナの檻に入れて話した。
「凄くいいお母さんだから安心して」
「これまで猫だけでなく犬やアライグマの子供を育ててきたんだ」
同僚も三匹に話した。
「それもとても優しくてね」
「動物園のマザーテレサとさえ言われているから」
その優しさ故にというのだ。
「だからね」
「もう大丈夫だよ」
「貴方達は幸せになれるわ」
「ニャオン」
アレナはイヴァンカ達が言う通りにだった。
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