第一章
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ロシアでは熊は家族
ヴェロニカ=ペチカはロシアのノボシビルスク在住の女性で職業はモデルである。見事な金髪と長身でモデルだけあって整ったスタイルには逞しさもある。社交ダンスにも秀でていてそちらで入賞したこともある。
その彼女がある日母にこう言われた。
「あんた前にサファリパークでお仕事したでしょ」
「ああ、地元の」
「あのサファリパーク閉園するらしいわ」
「えっ、そうなの」
「ええ、それで生きもの達の引き取り手を探してるそうよ」
「そうなのね」
「他の動物園やサファリパークに行くけれど」
そこの生きもの達はというのだ。
「手を挙げる人がいればね」
「その生きものをなのね」
「引き取ってもいいそうよ」
「そうなの、そういえば」
ヴェロニカは母の話を聞いて言った。
「あそこで熊と一緒に写真撮ったわね」
「そうだったのね」
「いい子だったわ、人によく懐いて大人しくてね」
「熊でもなのね」
「よく躾られていてね」
「あんたも楽しくお仕事出来たのね」
「ヒグマで雄でアーチーといって」
その熊の詳しいことも話した。
「いい子だったわ、お金に余裕があるし」
「まさかと思うけれど」
「ええ、アーチーを家でね」
「熊をうちで飼うのね」
「いいかしら」
「ここはロシアだからね」
母は娘の考えにこう答えた。
「多くはないけれど」
「熊と暮らしてる人もいるでしょ」
「ロシアの象徴は熊でしょ」
国としてのそれはというのだ。
「街に人が飼ってる熊がいたりお散歩に連れて行ってたりサイドカーに乗ってたりするから」
「そうよね」
「だったらね」
それならというのだ。
「あんたが飼ってもね」
「いいわね」
「世話はちゃんとしなさいね」
「わかってるわ、私猛獣を飼う資格も持ってるから」
当然そこには熊もはいっている。
「だからね」
「それじゃあ頑張ってね」
「ええ、そうするわ」
母とこう話してだった。
ヴェロニカはサファリパークからアーチーを引き取って一緒に暮らしはじめた、アーチーは彼女によく懐き。
「ガウガウ」
「よく食べるけれど」
「大人しいでしょ」
「ええ、この子はね」
「熊は確かに猛獣よ」
ヴェロニカはご飯を食べるアーチーを見ている母に話した。
「そうよ、けれどね」
「それでもなのね」
「ちゃんと躾てご飯をあげていたら」
「人を襲わないのね」
「それで冬眠もしたら」
それならというのだ。
「いいのよ」
「そうなのね」
「ちゃんと熊のことをわかっていて慎重にしていたら」
「安全ね」
「そうよ、それでこの子はね」
アーチー自身のことも話した。
「元がいい子だから」
「躾られているだけでなくて」
「その
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