第11節「すれ違いのDissonance」
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だから、気づいてくれ……響……。
「何故シンフォギアを纏った?何故ガングニールの力を求める?この問いに答えられないなら、ガングニールは二度と応える事は無い」
「ッ……わたし、は……」
響は言葉を詰まらせている。
再び訪れる沈黙。実際には2秒か3秒なんだろうけど、俺にはその十倍にも感じられた間の後で、響は──
「………………ッ!」
何も言わず、俺の前から逃げるように走り去って行ってしまった。
「響ッ!」
「やっちゃいましたね……」
振り返ると、春谷さんが立っていた。
「いつからそこに?」
「最初からいました。邪魔するのも野暮なんで、聞くに徹していましたが」
「流石ですね……」
全部聞かれていたようだ。
物凄く呆れた顔で、春谷さんは溜息を吐いた。
「彼女を想っての言葉だったとは思うのですが、言葉が全然足りなさすぎます。あれじゃ傷つけてしまうのも当然ですよ」
「自分でもどうかと思います……。そんなつもりじゃ無かったのに、中々言葉が見つからず……」
走り去る時、響の目からは雫が零れていた。
伴侶として不甲斐なし……。
もっと言葉を選べていれば、響を泣かせる事もなかったはずだ。
「……こう言ってしまうのもなんですが、そういう所は八紘様に似ていますね」
「父さんに……?」
「ええ。相手の事を想っているのに、言葉足らずで突き放してしまう。見事にそっくりですよ」
「あんまり似てほしくない所だったなぁ……」
相手に傷ついてほしくない、という気持ちが先行するあまり、伝えるべき言葉が出なくなってしまう……か……。
心身ともに強くなったつもりでいたけど、まだまだだなぁ……。
「それより翔様、後悔よりも先にやるべき事があるのでは?」
「ん……ああ、そうだよな……」
俺はスマホを取り出すと、未来の番号にかける。
かけてから2コールくらいで、未来は通話に応じてくれた。
『翔くん、どうしたの?』
「もしもし未来?いや、実は……」
俺は事の顛末を伝え、未来に謝罪する。
「すまない……響の事は泣かせないと誓ったのに……」
『……ううん、謝らなくていいよ』
しかし、未来から返ってきたのは予想外の言葉だった。
「怒らないのか……?」
『翔くんなりに、響の事を想って言ってくれたんだよね?だったら、きっと響にとっても必要な事だったんじゃないかな』
「未来……」
響の事をよく理解している彼女から、そう言ってもらえるのはとてもありがたかった。
きっと今の響に必要なのは、親友である未来の言葉なんだろう。
『響は今夜、わたしの寮に泊まってもらうから、任せてもらえるかな?』
「ああ、よろしく頼む……。同性だからこそ言える言葉が
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