暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギアGX〜騎士と学士と伴装者〜
第11節「すれ違いのDissonance」
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

だから、気づいてくれ……響……。

「何故シンフォギアを纏った?何故ガングニールの力を求める?この問いに答えられないなら、ガングニールは二度と応える事は無い」
「ッ……わたし、は……」

響は言葉を詰まらせている。

再び訪れる沈黙。実際には2秒か3秒なんだろうけど、俺にはその十倍にも感じられた間の後で、響は──

「………………ッ!」

何も言わず、俺の前から逃げるように走り去って行ってしまった。

「響ッ!」
「やっちゃいましたね……」

振り返ると、春谷さんが立っていた。

「いつからそこに?」
「最初からいました。邪魔するのも野暮なんで、聞くに徹していましたが」
「流石ですね……」

全部聞かれていたようだ。
物凄く呆れた顔で、春谷さんは溜息を吐いた。

「彼女を想っての言葉だったとは思うのですが、言葉が全然足りなさすぎます。あれじゃ傷つけてしまうのも当然ですよ」
「自分でもどうかと思います……。そんなつもりじゃ無かったのに、中々言葉が見つからず……」

走り去る時、響の目からは雫が零れていた。

伴侶として不甲斐なし……。
もっと言葉を選べていれば、響を泣かせる事もなかったはずだ。

「……こう言ってしまうのもなんですが、そういう所は八紘様に似ていますね」
「父さんに……?」
「ええ。相手の事を想っているのに、言葉足らずで突き放してしまう。見事にそっくりですよ」
「あんまり似てほしくない所だったなぁ……」

相手に傷ついてほしくない、という気持ちが先行するあまり、伝えるべき言葉が出なくなってしまう……か……。

心身ともに強くなったつもりでいたけど、まだまだだなぁ……。

「それより翔様、後悔よりも先にやるべき事があるのでは?」
「ん……ああ、そうだよな……」

俺はスマホを取り出すと、未来の番号にかける。
かけてから2コールくらいで、未来は通話に応じてくれた。

『翔くん、どうしたの?』
「もしもし未来?いや、実は……」

俺は事の顛末を伝え、未来に謝罪する。

「すまない……響の事は泣かせないと誓ったのに……」
『……ううん、謝らなくていいよ』

しかし、未来から返ってきたのは予想外の言葉だった。

「怒らないのか……?」
『翔くんなりに、響の事を想って言ってくれたんだよね?だったら、きっと響にとっても必要な事だったんじゃないかな』
「未来……」

響の事をよく理解している彼女から、そう言ってもらえるのはとてもありがたかった。

きっと今の響に必要なのは、親友である未来の言葉なんだろう。

『響は今夜、わたしの寮に泊まってもらうから、任せてもらえるかな?』
「ああ、よろしく頼む……。同性だからこそ言える言葉が
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ