第11節「すれ違いのDissonance」
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る為に引き金に手を掛けた雪音先輩。
彼女達と響では、戦う理由が根本的に異なっていた。
響がシンフォギアを纏って戦う理由は、趣味である「人助け」の延長だ。それはもはや趣味と言うよりも、彼女自身の生き甲斐とすら言っていい。
使命や大義とは違う、もっと局地的で受動的なモチベーション。それが響の戦う理由だ。
つまり、元々戦いたくてシンフォギアを纏っているわけではない。この時点で他の皆とは大きく異なっているわけだ。
それに今回の敵は、これまで戦ってきた相手とはスタンスが全く違うのも、響を大いに戸惑わせているんだと思う。
ルナアタックでは偶発的に現れるノイズと、それらを影で操っていた先史文明期の亡霊、フィーネが相手だった。
フロンティア事変では、それが世界を救う為の行動だと信じていたF.I.S.の装者達や、惑う彼女達を誑かし、世界中を自らの野望に巻き込んだウェル博士。そして暴走したネフィリムが立ちはだかった。
これらの脅威に対して響は、始めこそ戸惑いながらも言葉を交わし、手を差し伸べ、その行動の根底にある想いと向き合う事で解決して来た。
時々、相手の地雷を踏み抜いて一触即発なんて事もあったが、それでも手探りで相手の事情に辿り着き、抱いた想いの根底を引き出してきた。
いわゆるウィンザー効果──第三者を介した言葉の方が、当事者から伝えられた言葉よりも信憑性が増す効果──というやつだろう。
響のお人好しとお節介は、結果的に誰かを導いて来たことを俺はよく知っている。
だが、今回はそうでは無い。
キャロル・マールス・ディーンハイムは、始めから響に、そして俺達シンフォギア装者に狙いを定めていた。
それは、火災マンションやロンドンでの宣戦布告からして間違いないと思う。
相手から明確に、名指しで「オレと戦え」と言われた響の気持ちは、俺には想像もつかない。俺なら人々を害する者からの挑戦など、真っ向から受ける以外に答えが無いからだ。
でも、響は違う。彼女の中で戦う理由が無いなら、争わずに事を収めたい。立花響という少女の人間性は、そういう優しさから成り立っているのだから。
彼女は二度も世界を救った。いつかウェル博士が言っていた通り、彼女には“英雄”の素質がある。
それでも、世界を救うまでの道程を見れば、やはり響は根本的に、戦士には向かない性格をしていると思う。
そして、そんな響にこれ以上の責任を背負わせるわけにはいかない。
このまま進めば、いずれ響はシンフォギア装者として、誰かと戦う重責に押し潰されてしまう。
そんなの、俺は御免だ。
「ねえ、翔くん……わたし、どうすればいいのかな……?」
本当はこんな事、言うべきじゃないと分かっている。
人助けを生き甲斐とし、それに自ら
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