第三百三十三話 除夜の鐘その十
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「仕方ないよ、嘘は指摘して工作もね」
「潰すのね」
「そうしてね」
「そうした人の好きにさせないことね」
「言うだけならいいよ」
そうした人はだ。
「まだね」
「聞かなかったらいいから」
「それで済むから、けれどね」
「工作までする人になると」
「もうね」
それこそだ。
「そこまでしないとね」
「駄目ね」
「うん、さもないとね」
「大変なことになるわね」
「そうした人の我儘ばかり通って」
そしてだ。
「大勢の人が困るしね」
「除夜の鐘がなくなるのも嫌よね」
「折角の日本の風物詩なのね」
大晦日のそれなのにだ。
「なくなるとね」
「寂しいわね」
「そうだよ、ずっとあって欲しいよ」
僕は心からこう思っている。
「除夜の鐘も。お参りもね」
「元旦の」
「どちらもあって欲しいよ」
「そうよね、じゃあね」
「これからもね」
「そうした人は退けていこう」
「そうね」
こうした話をしながら僕達は鐘の音を聴いた、百八のそれが終わるとだった。
僕は香織さんをお酒、御神酒ではなくて般若湯が振舞われているそちらに案内した。そこには甘酒もあるけれど。
僕達はお酒を飲んだ、そして笑って言った。
「お酒ではあるけれど」
「お酒じゃないわね」
「般若湯だから」
「そうよね」
「飲んでいいんだよ」
「そういうことになるのね」
「仏教は本来はお酒駄目だから」
肉食妻帯と共にだ、昔の話である。
「それでね」
「お酒じゃないってなってるのよね」
「般若湯だよ」
「そうよね」
「般若湯なら飲んでいいから」
「お寺にも出ているのね」
「八条寺ではね、それにお酒でね」
ここではこう言った。
「身体を温めるってことで」
「飲んでるのよね」
「皆ね、出してもくれるんだ」
お寺の方もだ。
「言うならサービスでね」
「そういうことね」
「元々は甘酒だけだったけれど」
それでもだ。
「何でも維新からね」
「お酒もってなったの」
「うん、ここは元々お酒の産地だったから」
そこからはじまった町なのだ。
「それで維新で仏教の中で考えも変わったから」
「明治維新から」
「結婚してもよくなったから」
浄土真宗以外の人でもだ。
「お坊さんでもね」
「そこからお坊さんも結婚してなの」
「お肉もね」
そしてお魚もだ。
「残さず食べるってことでね」
「よくなったのね」
「そうなんだ」
最初の頃は凄い葛藤があったらしい、ずっと肉食妻帯は駄目であったのにそれが急にいいとなったからだ。
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