第二章
[8]前話
「明日は来るよ」
「ウホ」
「だから明日また遊ぼう」
「ウホホ」
寂しそうだがわかったと手話で話してだった。
翌日ボールが来ると楽しそうに遊んだ、その中で。
ココは手話で人と話す様になった、すると。
「命、生死について」
「ココとだね」
「最近話しています」
女性は男性に話した。
「手話で」
「命はどうしてあるか、どういったものか」
「それで命はどうして死ぬのか」
「そういうことをだね」
「ココと話しています」
そうしているというのだ。
「最近は」
「そうなんだね、それもね」
「はい、それもですね」
「ゴリラだからだよ」
「聡明な生きものだからですね」
「それでだよ」
だからだというのだ。
「そうした話もね」
「手話で、ですね」
「出来るんだ」
「そうなんですね」
「優しくてね」
「暴力を振るわず猫とも絆を築けて」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「哲学者の様に」
「命や生死のことをですね」
「考えられるんだ」
「そうなんですね」
「手話を通じてね、僕もまさかそこまで考えているなんて思わなかったよ」
ゴリラがというのだ。
「命や生死のことまでね」
「幾ら聡明でも」
「うん、けれど手話を教えて」
「そのことがわかりましたね」
「ココに手話を教えてよかったね」
彼はこうも言った。
「そうだね」
「そうですね、そう思うと」
「うん、これからもね」
「ココに手話を教えていって」
そうしてというのだ。
「彼女と話をしていこう」
「そうしていきましょう」
「そうしていけば」
それならというのだ。
「もっと素晴らしいことがわかるよ」
「そうですね、それじゃあ」
「そうしていこう」
「はい、じゃあ今日もココと」
「話をしよう、ボール行こうか」
「ニャオン」
二人と一緒にいたボールも頷く様に鳴いて応えた、そうしてだった。
彼等はココのところに行った、そしてボールと一緒に遊ぶココと手話で話をした。この時もココが語るものは非常に素晴らしいものだった。とても優しく聡明なものであった。
優しく聡明な生きものなので 完
2021・9・26
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