第一章
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優しく聡明な生きものなので
ゴリラは外見は怖そうである、だがその実は。
心優しく聡明な生きものだ、そのことはサンフランシスコの動物園にいる雌のニシローランドゴリラのココも同じだ。
ゴリラの飼育係の男性は新入りの女性スタッフにココを紹介しつつ話した。
「怖いのは外見だけでね」
「本当は、ですよね」
「こんな優しい生きものはいないよ」
自分達のところに来て親し気な様子を見せるココを見て話した。
「一切暴力は振るわないしね」
「非暴力主義ですね」
「教えられなくてもね」
「人間と違って」
「そう、そして賢いから」
だからだというのだ。
「尚更だよ」
「素晴らしい生きものですね」
「それで今この子に手話を教えているんだ」
飼育係の男性は女性にこのことも話した。
「実はね」
「手話ですか」
「実験的にね」
「あの、幾ら何でも」
「人間以外の生きものがだね」
「手話を覚えて出来るでしょうか」
「だから実験的にだよ」
その時にというのだ。
「やってみているんだ」
「そうですか」
「そう、そしてね」
男性はさらに話した。
「これから実際にやれるかどうか」
「そのことをですね」
「見ていくよ」
「それは凄いですね、若し出来れば」
「とてもいいね」
「はい、本当に」
新入りの女性はその話に期待を感じた、若し実際にゴリラ人間以外の生きものが手話を覚えて出来ればどれだけ素晴らしいことかと。
それでココの様子を見ているとだった。
「ウホッ」
「実際にですね」
「うん、手話が出来るね」
男性は手話をするココを見て女性に話した。
「ココは」
「おはようって言っていますね」
「手話でね」
見れば実際にそうしていた。
「凄いね」
「これがゴリラなんですね」
「賢いね、そしてね」
男性はココの手話を見つつ話した。
「今度ココに新しい友達を紹介するんだ」
「お友達をですか」
「うん、猫のね」
「猫のですか」
「今度は生きものの種類が違うけれど」
それでもというのだ。
「心を通い合わせられるか」
「そのことをですね」
「見るよ」
「そうするんですね」
「ゴリラは心優しいけれど」
そうした生きものだがというのだ。
「果たしてね」
「他の種類の生きものとも心を通わせられるか」
「そのことをね」
「見ますか」
「今度はね」
こうしてだった。
ボールというグレーと白の雄猫がココに紹介された、すると。
「ニャア」
「ウホウホ」
自分に近寄って身体を摺り寄せてきたボールにだった。
ココは笑顔になって優しく撫でた、ゴリラの怪力も充分セーブされていた。
そうしてココはボールとも仲良くなり彼が動物
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