フルールドラパン
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背中をさすっている。やがて美炎の前に押し出された彼女だが、じっとコヒメは青年の顔を見上げている。
「あれれ? どうしたの? 僕の顔に何かついているかな?」
青年はクスクスと笑いながら、コヒメを見つめ返す。
だが、コヒメはじっと青年の顔を凝視して離さない。
やがて、コヒメはその小さな口を動かした。
「お兄さんも……ちょっと変わってる」
「……?」
青年のニコニコ笑顔が、少し凍り付いた。
可奈美には、何となくそう見えた。
「コヒメ、ダメだよあんなこと言っちゃ」
フルールドラパンから出た美炎は、コヒメにそう注意した。
あの後、青年と少しお茶の時間を過ごしたが、その間もコヒメはずっと青年を見つめていた。幸い彼も気を悪くした様子はなかったが、ずっと見つめているのはあまり褒められた行動ではない。
「まあまあほのちゃん。コヒメちゃんも、そういうことはいけないって分かってくれたよね?」
清香が、注意する美炎を仲裁した。
彼女たちを見ていると、まるで家族連れみたいだなと可奈美が思っていると、ココアが「それじゃあ!」と元気よく三人へ声をかけた。
「まだまだ見滝原には、面白いところが一杯あるよ! 次はどこに行こっか?」
ココアの提案に、美炎は回答に悩んでいる様子だった。
一方、清香は即答で「それでしたら! こことここと、あとこのファッションショップにも行きたいです!」と雑誌のページを指差していた。
「いいよ! お姉ちゃんに任せなさい! コヒメちゃんはどこかある?」
ココアの質問に、コヒメは答えなかった。
彼女はむしろ、道にある一か所を凝視していた。
「あそこって確か……」
大通りから脇道に反れた、日陰のような場所。
その場所は、可奈美にも見覚えがある場所だった。
「神社だったよね。とっても狭い神社」
「お!? 神社巡りだね! コヒメちゃんも随分と渋い趣味してるね!」
ココアはニコニコと答えた。
「よし! それじゃあ、行こっか!」
結局、その神社にみんなで訪れることになった。
一か所だけ丘になっている神社。社のから続く階段から、本堂に通じている。
「ここの神社、あんまり来たことなかったなあ。ここって結構大きい神社だったよね」
「そうだよ。でも、前に来た時も、結構小さかったから、あんまり私も印象に残ってないの」
ココアの案内で、可奈美達は神社の社へ足を踏み入れる。
「あ、ちょっと待って」
だが、後ろの方でコヒメと手を繋いでいる美炎が、ココアと可奈美を呼び止めた。
「二人とも。神社に入るときは、社の中心は通っちゃダメだよ」
「「何で?」」
「社の真ん中は、神様の通り道だから。
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