フルールドラパン
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横目に、可奈美はココアがコヒメを隣に座らせて抱き着いているのを眺めていた。
「チノちゃんも来られればよかったのになあ……」
「それは仕方ないよ。チノちゃんとハルトさんが今日店番してくれたから、私達もこっちに来れたんだから」
「そうだね……それじゃあ、コヒメちゃんは何にする?」
ココアはコヒメにべったりと顔を寄せながら尋ねた。
コヒメはココアと反対側に座る美炎の腕にしがみつきながら、メニューを眺めていた。
「うーん……分かんない……みほのは?」
「え?」
美炎は苦笑いを浮かべながら、メニューを見下ろす。彼女もまた、メニューを見ても目を白黒させていた。
「あ、あははは……可奈美は?」
「わ、こっち?」
突然話を振られたことに対し、可奈美もまた笑ってごまかすことになる。
「私がこういうこと詳しいと思う?」
「思えない」
「良かったら、僕が教えてあげようか?」
突然、可奈美の背後から声がかけられた。
驚いた可奈美は、背後から肩に顎を乗せた人物に跳び上がる。
振り返れば、オシャレな恰好をした青年が、「フフフ」とほほ笑んでいた。
「店員さんも忙しいみたいだし、常連の僕がイロイロ教えてあげるよ」
黒い帽子と、緑と茶色のストールが印象的な茶髪の青年。彼は「ハロー」と可奈美、美炎、コヒメ、そしてココアへ挨拶した。
「あ、お客さん」
ようやく清香を落ち着かせたシャロが、青年へ「大丈夫ですよ」と声をかけた。
「私が説明しますから。お客様はどうぞ、お戻りください」
「いいからいいから。シャロちゃん。僕もこの可愛い子たちとお喋りしたいし」
青年はそう言いながら、可奈美の隣に腰を下ろす。
「君たちも、同席していいよね?」
「どうぞどうぞ!」
ココアが喜んで青年を迎え入れた。
「君たち、若いねえ。中学生くらい?」
「え? その……」
「私高校生だよ!」
中学生認定されたココアお姉ちゃんが涙目で訴える。
すると、シャロが青年へ耳打ちした。
「ココア、私と同い年なんですよ」
「そうなんだ! ふふ、シャロちゃんって高校生なんだ」
「お客様!?」
シャロが甲高い悲鳴を上げた。
青年はまた独特な笑い方をしながら、向かい席のコヒメを見つめる。
「君、可愛いね。誰の妹さん?」
「……」
すると、コヒメはまた美炎の後ろに隠れた。
「あ〜、ほらコヒメ。挨拶しよう?」
美炎がそう促すが、コヒメはより一層美炎の腕に身を埋めてしまう。
青年は「あ〜あ」と首を振り、
「フラれちゃった。恥ずかしがり屋さんなのかな?」
「そんなことないはずだけど……コヒメ?」
美炎がコヒメの
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